研究課題/領域番号 |
17K17984
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研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
村田 健児 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 助教 (30792056)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 変形性膝関節症 / 滑膜 / 骨棘 / メカニカルストレス / TGF-β / smad2/3 / 関節軟骨 |
研究実績の概要 |
変形性膝関節症(膝OA)の発症は様々な要因が複雑に関連するが、メカニカルストレスは主要な要因の一つである。関節軟骨や滑膜などの周囲組織がメカニカルストレスをどのように探知し、細胞内へ情報伝達を行っているか、また、軟骨変性と分子レベルの病態の理解については不明な点も多い。 我々は、膝関節の運動学的変化に焦点を当て、その変化が関節軟骨にそのような影響を及ぼすのか調査を進めてきた。具体的には、前十字靭帯損傷によって生じた靭帯損傷による関節内炎症による変性の進行か、二次的に生じた脛骨の前方不安定性に伴うメカニカルストレスによる変性の進行か、そのいづれかを明らかにし、膝関節内組織である滑膜や関節軟骨への影響を調査することを目的とした。 平成29年度においては、前十字靭帯損傷OAモデルを用いて、靭帯損傷によって生じた異常な関節運動を正常化する外科的な手術を施行し、靭帯損傷後の関節運動の復元が膝関節内組織へ及ぼす影響についてin vivoで検証した。結果、軟骨組織の変性や骨棘の形成、滑膜の肥厚や線維芽細胞増殖といった特徴を軽減することで組織学的に示した。続いて、骨棘形成因子であるBMPやTGF-β、その下流シグナルであるsmad1/5/8やsmad2/3についてELISAやリアルタイムPCR、免疫蛍光染色で検証した。結果、自然な関節運動の復元がmRNAレベルでは滑膜でsmad1/5/8やsmad2/3の発現を抑制し、特にTGF-β/ smad2/3シグナルにおいては、前十字靭帯損傷OA動物モデルにおいてメカニカルストレスを強く感知する軟骨化生部(脛骨後方部)に顕著な差を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験環境は問題なく整っており、概ね実験結果も得られている。BMPやTGF-β、その下流シグナルなど変化を認め、ターゲットとなる因子についての知見も得ているため、今年度は組織培養にて新たな実験を開始する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は,、軟骨化生部や滑膜組織から採取した組織から培養した細胞に対するBMPやTGF-βの役割やそのレセプターおよび下流シグナル、タンパクレベルの表現型について解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究は計画通り進んでいるが、顕微鏡用レンズが現状レンズでの対応が可能であったため、その支出分に差が生じた。次年度以降に顕微鏡用位相差レンズを購入に向け予算を使用予定である。
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