研究課題
本研究の目的は、関節軟骨の変性に物理的ストレスの影響を調査することである。2017年と2018年には前十字靭帯損傷によって生じた異常な脛骨の前方引き出しを正常化する外科的な手術を施行し、靭帯損傷後の関節位置異常の復元が膝関節内組織へ及ぼす影響についてin vivoで検証した結果、関節不安定性による関節軟骨の変性は4週時点で進行し、骨棘の形成は8週時点で顕著であった。この変性や骨棘の増大について、滑膜に着目して調査したところ、滑膜でTGF-βの発現が長期に及び、関節不安定性は慢性的な滑膜炎に関連する結果となった。また、軟骨下骨ではsmad2/3の発現が抑制され、軟骨内骨化について変化を引き起こした。結果、関節不安定性というメカニカルストレスの変化について、TGF-β/smad2/3シグナルの変化が関連することが予想された。このため、2019年には発現が確認されたTGF-β/ smad2/3シグナルについて、ALK-5阻害剤を利用し、TGF-β/smad2/3シグナルを抑制することで、関節不安定性に対するTGF-βの役割を検証した。結果、ALK-5阻害によって一時的にTGF-βが軟骨や滑膜で増加させた。この反応は、ALK-5阻害によって抑制された下流シグナルの代償機構として反応し、それらが軟骨や滑膜へそれぞれに影響している可能性を示唆し、解析を進めている。
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