研究課題/領域番号 |
17K17988
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
安藤 藍 首都大学東京, 人文科学研究科, 助教 (20750441)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 社会的養護 / ファミリーホーム / ケアの社会化 |
研究実績の概要 |
本研究は、里親たちを中心とする家庭養護養育者の経験する困難がいかなる社会文化的文脈より生起しているのかを社会学的に解明し、国際比較から日本の特性を明らかにすることを目的とする。本研究をとおして、里親をはじめとする社会的養護一般への支援の示唆を得るほか、ケアの公私分担の議論に里親養育研究を位置づけ展望をひらくことを目指すものである。 初年度である2017年度は、国内の追加調査を実施することに重きをおいた。とくに、これまで十分に取り上げられることの少なかったファミリーホームを中心的な対象とした。ファミリーホームは、平成20年の児童福祉法改正で『小規模住居型児童養育事業』として実施され、それ以前から里親型のグループホームとして自治体で行われていた事業を法定化したもので、里親のうち多人数を養育するものを事業形態とし、相応の措置費を交付できる制度としたものである。ファミリーホームのひとつの特徴は、里親の延長と位置づけられつつ、第二種社会福祉事業に該当する事業体でもあることだ。養育者の家庭で社会福祉事業として子どもを育てる特性に着目して対象設定を行った。年度内に全国のファミリーホーム18ケース27人を訪問し、インタビュー調査とホームの見学を実施させていただいた。調査協力者らには、これまでの研究活動・当事者支援のNPO活動より得たネットワークから紹介を得て出会ったルートや、FH連絡協議会事務局の許可を得て会合に集った養育者らに依頼し、連絡先を交換したケースなどの4つの方法でアクセスすることができた。次年度以降、不足するケースは追加で調査を行いつつ、データの分析に軸足を移していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、予定していた中心的な課題である、国内の里親への追加調査と調査データの整理、分析枠組みに用いる文献の収集を行うことができた。調査協力者の紹介を順調に受けることができ、当初想定していたよりも全国各地に調査に行く機会を得たため、英国でのフィールド調査の段取りよりも国内調査の実施をまず優先することとした。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に得た国内調査の詳細な分析を行い、成果を順次報告していくことが重要な柱となる。学会報告、投稿論文のほか、福祉現場の実践者らにも還元できるような寄稿も検討したい。 また英国調査は平成30年度に主たる調査を実施する予定である。調査のコーディネートを研究協力者等と丁寧に調整しておきつつ、先方の予定で時期変更の可能性はあると考えられるため、柔軟に対応していく。調査実施にあたっては、里親関連政策文書等の理論的検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた物品の購入を延期したため、幾分か余った分は翌年以降に繰り越して使用する。
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