研究課題/領域番号 |
17K17988
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
安藤 藍 千葉大学, 教育学部, 准教授 (20750441)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 社会的養護 / ファミリーホーム / ケアの社会化 |
研究実績の概要 |
本研究は、里親たちを中心とする家庭養護養育者の経験する困難がいかなる社会文化的文脈より生起しているのかを社会学的に解明し、国際比較から日本の特性を明らかにすることを目的とする。本研究をとおして、里親をはじめとする社会的養護一般への支援の示唆を得るほか、ケアの公私分担の議論に里親養育研究を位置づけ展望をひらくことを目指すものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、国内調査、分析枠組みに用いる文献の収集に重きをおいた。とくに、養育者の家庭で社会福祉事業として子どもを育てる特性に着目して、小規模住居型児童養育事業(ファミリーホーム)を中心的な対象とした。2017・2018年度を通じて全国のファミリーホーム21ケース31人を訪問し、インタビュー調査とホームの見学の機会を得た。2018年度は、予定していた中心的な課題である国内の追加調査をおおむね終え、データ分析に軸足を移し、一部成果を複数回学会にて報告したうえで本プロジェクトの中間報告として論文化した。2019年度には補足的に2度目のインタビューを2ケースについて実施した。引き続き分析を行い、2020年度には複数当該調査データを用いた原稿が刊行され、別の論文も執筆中で2021年度の公開を目指している。 英国でのフィールド調査についてはアレンジの都合などからやや遅れていたが、2019年夏に訪問しヒアリングを行うことができた。帰国後、調査報告会の実施や一部を紀要原稿に執筆した。2020年度に補助事業期間を延長し英国追加調査を実施する予定であったものの、新型コロナウイルス感染症の世界的流行により実施できなかった。その分、本研究の助成期間後でも再訪する際に土台となるような文献収集は続け、関連テーマでの監訳を担うなど国内でできる作業を続けた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究全体を通じて、国内で調査協力者の紹介を順調にうけることができ想定よりも全国各地に調査に行く機会を得たほか、調査の実施のなかで新たな着想も得て別途研究案も検討するなどの進展があり、新たな科研にも発展した。2021年度には、執筆中の論文の公開を中心に成果報告の仕上げを着実におこなう。さらに、本研究から新たな研究へと接続しているため、その展開に注力していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じたのは、2020年度に追加で海外調査に赴く予定であったものが、新型コロナウイルス感染症の流行によって実施できなかったためである。2021年度も海外渡航制限が続いており、成果報告の論文執筆過程で必要な書籍購入等に充てる。
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