研究課題/領域番号 |
17K17993
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
高氏 裕貴 横浜市立大学, 生命ナノシステム科学研究科(八景キャンパス), 客員研究員 (30784144)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 細胞老化 / 老化 / タンパク質合成 / 凝集たんぱく質 |
研究実績の概要 |
細胞老化は、動物組織を構成する体細胞が、不可逆的に増殖を停止する現象である。また、重要なことに、細胞老化は個体老化やがん化などに深く関わっていることが明らかになってきている。細胞老化は様々なストレスにより誘導されるが、その増殖停止の機構に関しては解明されていない点が多い。我々は、老化細胞ではタンパク質の過剰な蓄積が起こっており、過剰なタンパク質の合成・蓄積を抑えることで細胞老化を抑制できることを見出した。本研究では、過剰なタンパク質の合成・蓄積が、細胞老化を誘導する機構および個体老化へ及ぼす影響を明らかにする。細胞老化は個体老化や様々な疾患の発症に深く関わっていることがわかってきていることから、細胞老化を調節できれば、加齢性疾患の予防を含め、人々の健康長寿に広く貢献することが期待される。 平成30年度は (1)老化誘導の方法によって界面活性剤不溶性タンパク質のバンドパターンが変化するか検証した。様々な薬剤によって老化誘導した細胞や継代老化細胞の界面活性剤不溶性タンパク質を電気泳動した。その結果、すべて同一なバンドパターンが得られた。 (2)培地に非必須アミノ酸を加え、老化誘導した時に界面活性剤不溶性タンパク質が増加するか検討した。その結果、非必須アミノ酸によって界面活性剤不溶性タンパク質の増加傾向がみられた。 (3)昨年発見した機能性植物の解析を進めた。タンパク質凝集モデル線虫を用いて、発見した機能性植物が凝集による麻痺を抑えられることを発見した。また、線虫の寿命を顕著に延長することも発見した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
老化細胞で不溶性タンパク質を再現性良く検出できてはいるが、その詳細については未だ解析できていない。また、マウスを用いた実験についても遅れが生じている。 一方で、発見した機能性植物の解析については順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
老化細胞で蓄積する不溶性タンパク質の詳細を解析するため、防衛大に協力を依頼する予定である。 また、培地中アミノ酸量による細胞老化への影響について学術論文にまとめるため、タンパク質合成量や不溶性タンパク質量の解析を進める。 マウスを用いた個体老化への影響については、中高齢のマウスや老化モデルマウスを用いて実験期間を短縮し行いたいと考えている。 発見した機能性植物の有効成分や作用機構に関しても解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウス実験に着手できていないため、次年度にマウス関連の物品購入をする予定である。 引き続き、細胞レベルでのタンパク質解析を進める。
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