研究課題
本研究では、過剰なタンパク質の合成・蓄積が、細胞老化、つまり、細胞の「不可逆的」な増殖停止を誘導する機構を解明する。細胞老化は個体老化や様々な疾患の発症に深く関わっていることがわかってきていることから、細胞老化を調節できれば、加齢性疾患の予防を含め、人々の健康長寿に広く貢献することが期待される。令和元年度は(1)タンパク質合成阻害剤シクロヘキシミドによって、タンパク質合成を制限すると界面活性剤不溶性タンパク質が減少することを発見した。また、ProteoStatを用いてタンパク質凝集を観察すると、老化細胞では凝集タンパク質が増加していることやシクロヘキシミド添加によって凝集タンパク質が減少することを発見した。以上のことから、凝集タンパク質が細胞老化を誘導する一因であることが示唆された。(2)必須アミノ酸や非必須アミノ酸を培地に加えることで、タンパク質合成量が増加することがわかった。アミノ酸量の増加による細胞老化の昂進は、タンパク質合成量の増加によるものであると考えられた。(3)過剰なタンパク質の蓄積・凝集を抑えるハーブの有効成分について解析を進めた。タンパク質凝集モデル線虫に発見した有用植物のHPLCで分画したピークを与えたところ、いくつかのピークで効果が見られた。
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