研究課題
1) COL1A1遺伝子プロモーター制御による胆汁酸受容体FXR欠損マウスにおいて、シリウスレッド陽性域の増大、すなわち肝線維化が進行することを見出した。その病態分子解析において、ストレスのマーカーである血中グルココルチコイド量が変化していることが明らかになったので、拘束ストレスと胆汁酸動態の関連性を解析した。拘束ストレスは、メチオニン・コリン欠損高脂肪食によって誘発された脂肪肝炎病態において、血液中および肝臓中の胆汁酸レベルを上昇させ、線維化を促進した。そのマウスモデルにおいて、血清グルココルチコイドレベルと血清胆汁酸レベルに相関が認められた。さらに、非アルコール性脂肪肝炎患者において、血清グルココルチコイドレベルと血清胆汁酸レベルにも相関が認めれた。以上より、ストレス、グルココルチコイドならびに胆汁酸に分子連関があると推定された。液体クロマトグラフィー‐マススペクトロメトリーで肝臓内胆汁酸組成を解析すると、拘束ストレスで抱合型胆汁酸に変化が認められなかったが、非抱合型胆汁酸、特に、β-ムリコール酸の上昇が顕著であった。そこで、β-ムリコール酸を初代培養マウス肝細胞に添加すると、パルミチン酸・オレイン酸添加で惹起される脂肪蓄積が減弱された。現在、分子機序を解析している。2) FXR活性化剤GW4064が肝星細胞の細胞老化で発現が上昇する遺伝子を誘導したため、老化肝星細胞について解析を行ったところ、老化肝星細胞では、肝線維化を惹起させるTGFβ添加によるCOL1A誘導が消失していることが明らかになり、TGFβ応答が減衰していることが明らかになった。現在、前年度に発見した、GW4064によってFXRとの結合が消失するタンパク質Xとの関係性を解析している。
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Journal of Hepatology
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