研究課題
若手研究(B)
ワークライフバランスの歴史研究として、「教化」という言葉を軸に、日本における労働と生活の関係性を問い直した。具体的には、労働と生活の組み合わせを考える際の原点になるであろう1920年代の労働と生活の形成過程史をたどることから始め、当時の社会事業家たちの研究成果から現代のワークライフバランスに相通じるものを抽出した。また、並行して現代の健全な保育とは何かを問うべく、兵庫県長田区をモデルにした子育て支援の効果的なアクセス方法や、保育者養成校における職業意識向上に向けた実習モデルを開発した。
社会科学
本研究はワークライフバランス論について現状分析に留まらず、わが国において一体いつ頃から意識されるようになったのか、その源流や系譜を探り、現在の諸問題にアプローチするという点に特色をもつ。こうした研究手法は現代を透視するうえで貴重な視点を提供するという点で決定的に重要である。そして、この作業の結果として、諸外国から影響を受けたワークライフバランス論を相対化して、日本固有のワークライフバランス論や政策・制度を抽出することに繋がったという点が研究成果の学術的意義や社会的意義だと考える。