研究課題/領域番号 |
17K18022
|
研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
岡田 定規 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (50624780)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 低用量アスピリン / 癌 / 糖尿病 |
研究実績の概要 |
本研究は日本人2型糖尿病患者コホートであるJPAD研究コホートを用いて、低用量アスピリン療法が日本人糖尿病患者の発癌・癌死亡に与える効果を検証する研究である。 平成30年度は平成29年度に実施した追跡調査(2017年追跡調査)のデータクリーニングを行ない、解析用データベースの補完に必要な二次調査を実施し完了した。その結果、平成31年3月に解析用データベースを固定することができた。2017年追跡調査の結果から、観察期間12.3年(中央値)中に総勢2536名の登録患者のうち359名に癌の発症を認めたことが判明している。現在、本データベースを元に低用量アスピリン療法やその他の薬物療法と発癌の関連を解析している。 また、2015年追跡調査を元に低用量アスピリン療法が日本人糖尿病患者における発癌抑制効果を有するかについて、解析・報告を行なった(解析結果の詳細は平成29年度に報告済み)。2015年追跡調査を元にした解析結果では、日本人2型糖尿病患者において低用量アスピリン療法の発癌抑制効果は示すことはできなかったが、対象を65歳未満に限定した場合、低用量アスピリン療法による発癌抑制の可能性を示した。本結果は平成30年5月に日本糖尿病学会年次学術集会で発表し、平成30年6月に米国糖尿病学会の機関誌である“Diabetes Care誌”に発表(2018年8月号に掲載)した。本研究の成果はDiabetes Care電子版発行に併せてプレスリリースを行ない、朝日新聞等に掲載(平成30年6月17日)された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度に予定した2015年追跡調査の解析・報告は終了した。 平成29・30年度に予定していた2017年追跡調査(二次調査を含む)に当初の予定よりも時間を要したが、平成30年3月に終了し、データ解析が行える環境が整った。研究期間延長後の令和元年度にこれらのデータを用いて解析・報告を行なう予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
2017年追跡調査の結果を元に、日本人糖尿病患者における低用量アスピリン療法による発癌抑制効果の評価を行なう。また、本研究で構築したデータベースを元に日本人糖尿病患者の発癌と関連する危険因子(特に代謝パラメータの治療状況)や低用量アスピリン以外の薬物と発癌の関連を解析する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成29・30年度に実施した2017年追跡調査の二次調査に時間を要したため、解析用データベースの構築が遅れた。本来であれば平成30年度に完了すべき解析・報告に要する研究費を令和元年度に継続した上で、データ解析と結果発表を行なう。
|