研究課題/領域番号 |
17K18026
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
島崎 康弘 岡山県立大学, 情報工学部, 助教 (20584270)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 温熱快適性 / 非定常 / 非一様 / 適応評価 / 人体熱収支 / 温熱生理 |
研究実績の概要 |
生活空間の温熱環境が人々の健康・安全を脅かす事例が数多く発生し,現状把握や改善策立案に向けて,的確に人体のおかれた温熱環境状態を表現する適応評価指標の確立が求められている.人体温熱状態は,人体とその周囲環境の間の熱授受の結果である人体熱収支により把握できると考えられるため,人体と環境の熱授受に影響の大きい六要素(気温,湿度,放射温度,気流,代謝量,着衣量)それぞれが,人体温熱状態を規定するエネルギー輸送現象においてどのような役割をし,さらにそのなかで空間的・時間的変動が及ぼす影響,を解明することで適応評価指標の確立を試みた. これまでに人体からの放熱および人体への受熱のバランスと生起される温熱生理との関連性に着目した人体熱収支モデルである「人体熱負荷量」が開発され一様環境下でその有用性を確認できていることから,人間そのものや人間生活の場の非一様・非定常性に対応できる実用的な指標構築を目指す観点よりH29年度の主な取り組みは以下である. 1)非一様熱負荷環境の人体熱収支モデル:単一的な「環境-人体」という2ノード概念から,空間的分布を有する環境-人体の相互作用も考慮したマルチノードな人体熱収支モデルを構築し,被験者実験との比較において定性的な一致をみた. 2)非定常体温調節モデル:時々刻々と変動する環境・人体における相互作用の結果である人体熱収支を境界条件として,非定常生体伝熱現象をモデル化し,実測と比較・精度向上をはかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画においてH29年度に予定した項目はすべて計画通りに実施しており,一定精度の検証が行われていることから,本研究は順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
H29年度研究計画が順調に進展していることから,当初の計画通りに環境物理量,生理量に対応する心理量状態を実験ベースで分析することで,実生活で起こる非一様・非定常的温熱環境下での適応評価指標を確立することを目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画自体は順調に推移しているが,成果が得られた時期が年度後期にずれ込んだため成果発表等の旅費使用が予定に比べて少なかったことが原因である.この分を次年度初頭に行うことで最終的には計画通りの成果を予定している.
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