研究課題/領域番号 |
17K18030
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研究機関 | 香川県立保健医療大学 |
研究代表者 |
諏訪 亜季子 香川県立保健医療大学, 保健医療学部, 助教 (00571895)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 在宅で暮らす重症心身障害児(者) / 移行期に達した障害のある子の家族を含めた支援 / 多重介護家族支援 / ケアラー支援 |
研究実績の概要 |
平成30年度より全国規模で活動をしている患者会や支援者団体、行政等にヒアリング調査を実施した。約25か所の都道府県に返答を頂き、重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))を含む多重介護の事例発生の有無とその支援の概要、現在の状況等を聴取した。 その結果、重症児(者)を含む多重介護の様相として、<同居型><呼び寄せ型><近距離別居型><遠距離別居型>が存在することが明らかとなった。この様相を選択決定する要因としては、行政等のサービス受給資格決定側の柔軟な受け答えと、訪問看護ステーションや生活介護施設等の直接支援側の柔軟な動きに大きく左右されており、これらの柔軟性を受けて当事者は、少ない選択肢の中で様相選択されている様子が伺えた。 さらに、ヒアリンク調査結果を分析した結果、都市(東京、千葉、大阪等)では、住所環境の制限や高齢者自身の希望により介護が必要になった高齢者を<呼び寄せ型>で看るのは困難であり、<遠距離別居型>で最期の看取り期のみ重症児(者)を短期入所させたという形態が多かった。逆に地方では、<呼び寄せ型>もしくは、自家用車ですすに駆けつけれる距離での<近距離別居型>が多かった。 上記ヒアリング調査時にも、多重介護事例経験事態は希少であるが今後ますますの増加は予測されることも聴取された。このことも踏まえ、次年度は、ヒアリング調査を継続しながら再度多重介護の様相を加味して各地域に伺い、多重介護経験者へのインタビューを行う予定である。現在のところ、北海道、東京、千葉、鳥取、香川で研究協力の同意を得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査協力者は、研究協力の同意が得られた在宅で重度心身障害児(者)とともに暮らしながら、同居もしくは近隣に住む家族の介護も担っている多重介護者の母親総計30名程度を予定しているが、先行調査地域と比較して、圧倒的に多重介護事例が希少であり、今のところ同意が得られた対象が5名で当初予定数まで達していない状況であるため。
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今後の研究の推進方策 |
当初より、本研究の対象が在宅で暮らす重症児(者)と高齢者を介護している多重介護者もしくは多重介護を担った経験のある者であるため、容易に研究協力ができる状況ではないことも加味し、行政サービス側や直接支援者へのヒアリングとフィールドワークで、研究精度を高めつつ展開している。しかし、何よりも研究対象の生の声を聞き取ることが本研究の精度を高く維持担保する根幹であるため、研究計画に基づき完遂させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたスケジュールでのインタビュー調査が実施できておらず、旅費支出が滞っているため。研究計画に順じて、次年度研究完遂を目指す。
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