本研究の最終年度は、研究実施計画の予定通りに、昨年度より新しい教材の開発のために実施している撮影と編集を用いてVR教材を作成し教育効果の測定を実施した。編集にあたって、本研究の目的のひとつでもある新卒看護師離職率に繋がっていると思われる臨地の再現性が難しい演習のリアリティの追求と容易性、内容には多重課題を意識した教材作りをおこなった。研究は、旭川大学倫理審査会の承諾を得て実施した。 この実験を評価するにあたっては、ヘッドマウントディスプレイを使用し、視聴後は自律神経装置を準備し測定を実施した。測定にあたってこれまでの二次元の視覚教材と、三次元仮想現実実現環境を可能とするVR(Virtual Reality)教材との教育効果を分析した。 分析方法は、ヘッドマウントディスプレイ装着のストレスを考慮し、どちらの視聴ともにヘッドマウントディスプレイ内で、二次元と三次元の2群にわけて実施した。その際、それぞれ視聴前後に自律神経装置と加速度脳波経測定機器で測定した。また、視聴後には作成した自記式質問紙を用意し学習の効果を明らかにした。視聴時間は、VRの酔いや動画効果を考慮し2分30秒とした。視聴対象者は、講義で普段から二次元で視聴学習に慣れている3年生と4年生の看護学生16人に実験の同意を得て測定を行った。 研究の結果は、新しいVR学習に興味を示した学生が多く、学習効果ではVR教材でなければ習得できない結果が得られた。研究の途中結果は、 看護教育雑誌「特集 VR/AR/MR 教育への応用最前線」2019年1月号「看護教育」60 巻1号(医学書院)に掲載され、医学誌「Precision Medicine」2019年6月号(北隆館)でも紹介された。 本研究は、今後さらに複合現実の研究に進み、VRと同時にまた新しい教育として活用しながら看護師育成へ貢献できると考える。
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