研究課題/領域番号 |
17K18038
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研究機関 | 北星学園大学 |
研究代表者 |
野原 克仁 北星学園大学, 経済学部, 准教授 (80584854)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | AHP / ハフモデル / 時間価値 / 混雑現象 |
研究実績の概要 |
これまでに、観光地の魅力度を評価した研究や、階層意思決定法(Analytic Hierarchy Process; AHP) を用いて観光地選択問題を扱った研究などはあるが、いずれもAHPの結果を受けて観光客が求める需要構造を一定程度把握してはいるものの、観光客が求める観光資源が変化した場合にどれほど観光便益に影響するかについての分析を行った研究はなかった。そこで、本研究では3段階に分け、観光客の観光資源に対する選好の抽出、時間価値を考慮した観光便益の推計、混雑現象を考慮した観光便益の推計を行なうことを目指した。今年度においては、混雑現象を考慮した観光便益の推計を行なうため、既に得られた観光客の選好に係るデータをAHPを用いて分析し、その結果を用い混雑現象の有無が観光便益にどれほど損失をもたらすのかについて考察をするため、混雑現象を扱っている先行研究のレビューおよび必要なデータについて精査を行なった。特に、AHPの分析により明らかとなった観光客が何を重視しているか(ウェイトを置いているか)のみならず、それをハフモデルに拡張することで距離との関係から各サイトの吸引率を用いた研究は散見されるが、混雑現象というマイナス面を考慮しそれが吸引率にどのように影響するかについて分析を行った研究は見当たらなかった。そこで、混雑現象に係るデータ収集を行い、混雑現象を明示的に組み込んだ吸引率を用い、従来の混雑現象を考慮しない吸引率と比較し、どれほど吸引率が下がるかを検討し、さらに実際の観光入込数と比較するもしくはデータ収集により期待訪問者数を推計し、便益の損失分を推計することを検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来であれば、最終年度内においてAHPによる分析等これまでの研究成果と混雑現象および時間価値を考慮した便益の損失について理論モデルを検討し、データ収集による実証分析まで行う予定だったが、データ収集を行うまでに至らず実証研究の実施が出来なかったため。
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今後の研究の推進方策 |
まずはデータ収集を行い、混雑現象および時間価値を考慮した観光地の便益損失について実証分析を行う。データ収集はインターネット調査を検討しており、調査会社の選定および調査票の作成を次年度の早い段階で実施し、実証分析を行い研究論文としてまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
実証研究のためのインターネット調査を通じたデータ収集費用を計上していたが、当該年度までに調査内容を確定して調査票を完成させ、データ収集を実施するまで至らなかった。そこで、次年度においては早い段階でインターネット調査を実施する予定である。
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