研究課題/領域番号 |
17K18041
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研究機関 | 北海商科大学 |
研究代表者 |
玉井 航太 北海商科大学, 商学部, 准教授 (20710635)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | コミュニティ / 異文化受容 / ソーシャルキャピタル |
研究実績の概要 |
本研究は,多文化社会へ向けて地域コミュニティが外国人をどのように受け入れ,支援していけばよいのかという問いに対するコミュニティアプローチとして,これまで多くの研究において共同体的意識から一様に捉えられてきた地域コミュニティをその構造や性質から分類し,その分類ごとの異文化受容の在り方を検討することを目的としている。 2017年度においては,これまで用いられてきた地域意識尺度などのコミュニティを捉えるための尺度についての文献レビューと共に,関連先行研究を基にした理論的検討を行ってきた。これまでの地域コミュニティに対する態度や感覚を捉える尺度に共通している要素を概観すると広井(2009)が指摘している農村型コミュニティの在り方を指すものが多く,必ずしも都市部において適合するものではないと考えられるものであった。2018年度では,特に海外での先行研究を中心に検討をおこない,Sarason(1974)が提唱し,McMillan & Chavis(1986)が再定義したコミュニティ感覚を中心に,日本における社会学や人類学などの様々な分野でのコミュニティ研究結果と比較検討をおこなった。その結果,日本での研究結果とコミュニティ感覚の概念は共通した概念的構造を仮定されているものの,その質的な内容としての細かい異なりがみられ,因子構造の違いとして現れることが示唆された。また,2017年度に続き,異文化受容ということを踏まえ,在日外国人の都市部における生活実態等の文献レビューを行ない,その結果からも農村型コミュニティとしての地域の捉え方では在日外国人を受け入れる側としての地域の実情と適合するものではない可能性が示唆され,地域の実情を反映する尺度項目の検討をおこなっている。2019年度においては,これまでの理論的検討を踏まえ,質問紙調査を実施し,量的データから尺度の作成を目的とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の背景となる理論的検討は進んでいるが,資料の整理と定義の再検討に時間がかかり,校務との兼ね合いの中で質問紙調査の準備に遅れが生じている。また,質問紙調査を実施する際に,郵送法を検討していたが,現実可能性とコストの面からインターネット調査への変更を検討しており,そのインターネット調査の実施方法の検討,業者の検討に時間がかかっている。調査実施に向けて精査を引き続きおこなっていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は「尺度作成を中心とした調査」を主たる課題としている。これまでおこなわれた理論的検討を基に尺度項目の決定,質問紙に含む尺度の決定をおこない,質問紙を作成する。またインターネット調査での実施の検討を進め,その調査時での条件の決定,業者の選定を行い,2019年度中に2回の調査を実施する予定である。得られた研究成果は,国内外の学会で公表し,論文執筆を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度までは,文献レビューと理論的検討に費やしたため,人件費などの予算の支出はかからなかったが,調査結果分析に必要な環境構築への支出が主であった。2019年度は質問紙調査を予定し,インターネット調査の実施を踏まえ,調査実施にかかるコストが大きくなる可能性がある。そのため,前年度の分と次年度使用額をあわせて効果的に使用することにより,不測の事態に対応した。
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