研究課題/領域番号 |
17K18041
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研究機関 | 北海商科大学 |
研究代表者 |
玉井 航太 北海商科大学, 商学部, 准教授 (20710635)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | コミュニティ / 異文化受容 / ソーシャルキャピタル |
研究実績の概要 |
本研究は,多文化社会へ向けて地域コミュニティが外国人をどのように受け入れ,支援していけばよいのかという問いに対するコミュニティアプローチとして,これまで多くの研究において共同体的意識から一様に捉えられてきた地域コミュニティをその構造や性質から分類し,その分類ごとの異文化受容の在り方を検討することを目的としている。2020年度においては,予備調査として,大学生を対象にコロナ不安と外国人への感情の関連性を検討するためのWebアンケート調査を実施した。コロナ不安自体は外国人への感情にネガティブに関連するものではなかったが,経済的不安が高いほど外国人への感情にネガティブな関連性を示し,規範信奉性が高いほど外国人への感情にネガティブな関連性を示していた。そして,コロナ不安が経済的不安と規範信奉性と関連を示していたことから,直接効果ではなく間接的にコロナ不安が外国人への感情にネガティブに関連していると考えられる。2021年度では,予備調査の結果を踏まえ,インターネット調査を予定し,その準備を進めていたが,コロナ感染に基づく剰余変数が生じ,再度,調査予定地域を再検討する必要が生じ調査の実施を延長することとした。2022年度においてもコロナ感染に関わる状況に変化がなく,調査目的に対する剰余変数が生じる社会的情勢が続くことになった。2022年度後半においては,コロナ感染状況への慣れと外国人の受け入れが緩和され,2023年度の5月からのコロナ感染対策の大きな変更が決定されることになり,それらを待ってからの調査の実施を意図し,再度の研究延長を申請する運びとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究では研究目的が在日外国人に対する日本人の態度という大きい枠組みの下にあり,今回のコロナ禍が調査結果に影響を与えてしまうことは明らかであった。2022年後半では,社会的情勢としては徐々に落ち着きを見始めていたが,研究面の制約は依然として大きいままであった。2022年に入ってからの外国人渡航者の制限緩和などの報道,ウクライナ問題など外国人の受け入れということへの考え方が日々変化し,どのタイミングがもっとも調査に適しているのかを判断するのが難しい状態にあった。さらに,オンライン授業への変更など教育業務への負担,コロナ感染を踏まえた上での校務の負担が大きくなっていることも研究の遅延につながっている。
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今後の研究の推進方策 |
研究機関が長期にわたる結果となってしまったが,本研究の目的が在日外国人に対する日本人の態度という大きい枠組みの下にあり,コロナ感染状況における外国人受け入れに対する社会的情勢は無視できず,2023年度への再延長を申請した。研究としては,当初の研究計画にコロナ禍で生じた外国人への偏見という問題を含め,調査変数として組み入れ,Web調査を実施する。予定としては,2023年度が再延長の認められない最終年度であることから,調査の実施は必ず行うものとして,コロナの5類感染症への移行とそれを基にした社会情勢の変化を見据え,8月の時期を予定している。得られた研究成果は,国内外の学会で公表し,論文執筆を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度から続くコロナ感染問題により当初の研究計画と異なる対応が求められ,国内外の学会参加や現場調査のための旅費が使用できない状態が続いていた。また,学内でのアルバイトも対面授業などに制限がある中であるため,学生に依頼することも難しい状態である。2023年度が再延長による最終年度であることを踏まえ,使用できない予算を調査の振り分けることによって,調査サンプル数や調査に用いる尺度数を充実させ,調査の質を高める形で予算を執行していく予定である。そのため,研究費の多くはインターネット調査への予算として割り当てられる。
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