研究課題/領域番号 |
17K18043
|
研究機関 | 白鴎大学 |
研究代表者 |
斎藤 明宏 白鴎大学, 教育学部, 講師 (90632084)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 外国語教育制度 / 言語政策 |
研究実績の概要 |
外国語教育は、諸国民がお互いについての無知と疑念を克服し平和を追求するという理念に貢献しうるものである。安全保障と地域の安定といった目標のためのマクロレベルでの国家間交流のみならず、商業、メディア、高等教育といったミソ、ミクロレベルにおいても情報や人の往来と交流が活発である後期近代においては、文化的価値また経済社会面での差異構造の多様性(についての意識化)も顕著である。新自由主義的統治のテクノロジーを通じて生じる外国語政策は如何なる(ウルリッヒ・ベックのいうような意味での)リスクを生み出しうるのか、世界の調和と安定的な発展に貢献し続けることができるのかという問いを生ずる。当該年度は目標のうち、1990年代以降を中心とした政策を構成するテキストに見られるディスコースの構成について分析を継続した。先行研究の検討継続による問題点の整理、マクロレベルでの外国語教育政策構成過程の調査と検討の継続を進めた。外国語教育制度形成・更新過程において観察されるテキストに認められるレトリック使用の構造、戦略、作用については、主に文部科学省と経済産業省の関連官公庁において行われた審議会議事録の整理と閲読を進めた。言語政策研究方法論についての最近の動向・進展については、文献調査を続け一定程度の更新作業も継続して行った。平成31年度春に予定していた国際会議での成果報告を一部変更し、著書の形式にて公表することをめざすこととしたことを含め、後述のとおり当初計画に比してすべての点で作業進捗が遅れた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成30年度は実施期間の中間年度として、研究会議での報告に基づく成果を学術誌において公表することをめざしていた。しかし、提出調書作成時点におけるエフォート配分計画にあった調査作業進捗目標が未達となった。指導要領改訂告示によるカリキュラム更新に関連し研究代表者の業務増があったこと、および研究代表者の入院・手術により退院後業務の進捗が芳しくなかったことによる。
|
今後の研究の推進方策 |
調書記載の研究期間内に明らかにすることとして挙げた項目のうち、1990年代以降の言語教育政策を形成せしめたイデオロギーの構造、戦略、作用に焦点を絞りつつ、教員、学習者の応答としての言説をデータとして蒐集する。これらを比較・対照し、成果を報告としてまとめる作業に着手する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
上述のような進捗の遅れにより、予算執行についても次年度使用額が生じている。次年度は国際会議を含む関連学会での報告を行うための旅費、情報提供者との面会とインタビューを行うための謝金と旅費、著書出版についての連携研究者との打ち合わせに係る旅費、成果報告のための校閲費用の支出等を計画している。
|