研究課題/領域番号 |
17K18043
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研究機関 | 白鴎大学 |
研究代表者 |
斎藤 明宏 白鴎大学, 教育学部, 准教授 (90632084)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 異文化理解 |
研究実績の概要 |
本研究は後期近代という歴史性を後景に発現する言語政策立案過程に見られる言説の構造と作用等に焦点をあて、特に外国語教育政策立案過程で見られるレトリックのレパートリーと作用を検討するとともに、政策の介入目標である政策言説のオーディエンスの主体性(agency)発揮の様態を記述・検討することに重点を置いている。政策形成の三階層、すなわちマクロ、メソ、ミクロ階層のうち、特にマクロ・ミクロ両層における政策形成および政策介入への応答における主体性の顕現態様を想定したうえで検討を行ってきた。この想定は、近年の言語政策研究分野での理論や方法論の精緻化の進展に伴い採用したものである。昨年度まで、マクロ階層における政策形成過程での言説の収集と分析、ミクロ階層における政策への応答事例に見られる言説の収集と分析を行った。後者については予備調査結果を学会にて口頭報告した。今年度は、このミクロ階層における政策介入への応答事例について、特にミクロ階層に特有の、外国語を習得・使用するということ、また、多言語使用を広く社会で推進することにまつわる価値観、信念、想定が、言説の中でどのように伝達されようとするのか、また、その言説が伝達される際に使用させるレパートリーはどのようなものか、などの問題系を主眼に検討を進め、それらについての理解を得ることができた。多言語・多文化を出自とする人々は互いを理解しあうことが望まれる、互いの言語を学ぶことによって相互理解が可能になる、典型的な外国文化の具体的表象を体験的に学習することによって互いの文化的差異に由来する違いを超えて相互理解を進めることができる、などの価値、信念の体系性が事例データから裏付けられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度着手した検討の延長を本年度も進めたものの、研究以外の諸事象への対応などによって進捗は芳しくないものであった。
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今後の研究の推進方策 |
過年度着手したものの遅延している検討を来年度も進め、論文などとして取りまとめ報告する。
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次年度使用額が生じた理由 |
進捗遅れに伴い、一部を次年度使用のために繰り越した。
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