研究課題/領域番号 |
17K18048
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
古城 隆雄 東海大学, 健康学部, 准教授 (70518787)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 地域医療 / へき地医療 / 医療政策 / 過疎市町村 / 人口減少 / 無医地区 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、「人口減少・少子高齢化が医療提供体制や受療状況、健康水準に与えた影響を分析する」ことである。2025年以降、全国的に本格的な人口減少が到来し、各都道府県は人口減少・少子高齢化に対応した地域医療提供体制を構築することが求められている。過疎市町村は、20年後の日本を体現していると言え、人口減少・少子高齢化が医療提供体制、受療状況、健康指標へ与えた影響を分析することは、重要なことであると思われる。 初年度は、研究対象地域(過疎市町村が過半を占める10都道府県)の過去20年間の、医療提供体制、人口動態、医療の受療状況、健康指標に関するデータを収集し、データベースの構築を行った。データベースの構築の際には、非公開データも含まれるため、厚生労働省の情報公開請求を行い、データを入手した。既に入手したデータの一部を用いて解析を行い、関連する国際学会にて発表を行った。具体的には、情報公開請求で入手した無医地区調査の個票データを分析し、無医地区、準無医地区の高齢化、人口、世帯人数、医療機関への公共交通機関の運用状況や、無医地区、準無医地区の増減の理由について分析を行った。 次年度は、日本のへき地の医師の定着状況、理由に関する状況から得た知見を、海外のへき地における医療関係者の定着理由との比較考察に活かした。その内容は、国際ジャーナルに掲載発表することができた。また、山口県のへき地を抱える市町と県との間で、共同研究会(月1回程度)を発足させ、市町の行政官や保健師から、人口減少が地域にもたらす影響について意見を収集した。それらの意見を踏まえ、使用するデータベースと分析モデルの修正を行った。共同研究会の取り組みについては、第2回山口県へき地遠隔医療推進協議会にて報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
山口県のへき地を抱える市町と県との間で、共同研究会(月1回程度)を発足させ、市町の行政官や保健師から、人口減少が地域にもたらす影響について意見を収集した。それらの意見を踏まえ、使用するデータベースと分析モデルの修正を行ったため、計画以上に時間を費やした。 共同研究会の参加者から得た知見(分析モデルの内容や分析結果に対する考察)を活かし、研究内容をより実践的、精緻な内容にするため、研究期間の延長を申請した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、構築したデータベースを活用し、研究対象地域において、人口減少や少子高齢化が、医療提供体制、受領状況、健康指標に対して、どのような影響をもたらしたかについて解析を行った内容を、学会発表、論文投稿する予定である。なお、分析の考察にあたっては、山口県の共同研究会の参加者からも、適宜アドバイスを受ける予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
概ね研究計画通り、資料、文献、データ購入の費用、調査、学会発表費用などに支出している。平成30年度は、県、市町村との共同研究会の設置を行い、分析内容の検討に注力したため、研究成果の発表等に関わる予算を次年度に繰り越した。
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