研究課題
本研究の目的は、「人口減少・少子高齢化が医療提供体制や受療状況、健康水準に与えた影響を分析する」ことである。2025年以降、全国的に本格的な人口減少が到来する。過疎市町村は、20年後の日本を体現していると言え、人口減少・少子高齢化が医療提供体制、受療状況、健康指標へ与えた影響を分析することは、重要なことであると思われる。昨年度、山口県のへき地を抱える市町と県との間で、共同研究会(月1回程度)を発足させ、市町の行政官や保健師から、人口減少が地域にもたらす影響について意見を収集した。また、へき地の状況を確認する現状確認シート(地域診断シート、診療所シート、緊急時の連絡、搬送チャート図)の3つを作成し共有した。これまでの共同研究会の取り組みについて、第10回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会にて発表した。次に、昨年作成した調査票をもとに、岩国市、山口市、萩市(新たに参加)で「暮らしと医療に関するアンケート調査」を実施した。調査内容は、「生活に関する状況と困りごと」「最寄りの診療所の利用状況と希望」「医療の利用状況と希望」「将来の地域医療体制に関する意向」の4点である。自治体及び自治会の協力により、高い回収率(65~95%※地区により異なる)で調査票を回収することができた。最後に、オーストラリアのへき地医療体制の視察調査の機会を得たため参加した。クイーンズランド州の州政府、病院、へき地診療所に訪問し、州全体の取り組み、制度について伺った。また、Australian College of Rural and Remote Medicineでは、へき地診療を担う医師の育成システムについて、RFDsについてはドクタージェットの運用状況について説明を受けた。日本とオーストラリア、両国のへき地医療体制や遠隔診療の実施状況を比較することで、日本の課題について理解を深めることができた。
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