研究課題
本研究は透析期糖尿病性腎症患者における、ベルト式骨格筋電気刺激(B-SES)を用いた血糖上昇抑制および骨格筋機能改善による治療的透析ケアの検討である。当該年度における得られた知見は以下の通りである。1)透析患者への補助栄養摂取後の血糖上昇をB-SES施行により抑制する急性効果透析期糖尿病性腎症患者7例において、透析中に補助栄養(300Kcal)を摂取し、その後B-SES実施(30分)と非実施の2施行を一週間後の別日に実施した。B-SESの実施により血糖値は摂取後90分時で有意な低下を認めた(p<0.01, vs.非実施)。乳酸値は摂取後60分時で有意に高値であった(p<0.05, vs.非実施)。C-ペプチドは両群で交互作用を認めなかった。以上よりB-SESの施行は、透析中の補助栄養摂取による血糖上昇を抑制し、メカニズムとしてインスリン非依存的な血糖降下と考えられ、乳酸が高値を示した事より、糖分解の促進による血糖降下が考えられた。透析終了後の血糖変動を持続血糖測定(CGM)により測定したが交互作用は認めなかった。血糖コントロール良好者と不良者の指標としてグリコアルブミンにより層別し、同様に解析を実施している。栄養療法とB-SESの透析中の併用は、血糖上昇や変動のリスクを軽減し、骨格筋改善に有用な腎臓リハビリ手法となり得る事を示唆した。2)B-SESの3ヶ月間継続施行による、運動機能改善効果を進行中である。7例が参加し、新規エントリー7例が待機中である。
2: おおむね順調に進展している
急性効果の半数を終了し、引き続き3ヶ月効果の検討へ移行している。2例は既に試験を終了した。7例がエントリ-待機中である。
2019年5月上旬より、新規エントリー者の急性効果の測定をおこない、7月には全症例のエントリーは終了となる。11月~12月には3ヶ月効果の測定も終了となり、本試験の測定は終了となる。また急性効果に関する成果を病態生理学会他に発表予定である。
今年度は外注検査費用と試薬代の支出が少なかったため繰越額が生じた。平成31年度は外注検査費用と試薬代に80万ほど、データ解析のための統計ソフトに20万、論文作成のため英文校正費用に30万ほど使用予定である。
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糖尿病ケア
巻: 15 ページ: 619-625
理学療法とちぎ
巻: 8 ページ: 12-20
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