研究課題
本研究は透析期糖尿病性腎症患者における、ベルト式骨格筋電気刺激(B-SES)を用いた血糖上昇抑制および骨格筋機能改善による治療的透析ケアの検討である。1)急性効果:透析患者への補助栄養摂取後の血糖上昇に対して、B-SES施行により抑制出来るか透析期糖尿病性腎症患者11例において、透析中に補助栄養(300Kcal)を摂取し、その後B-SES実施(30分)と非実施の2施行を一週間後の別日に実施した。B-SESの実施により血糖値は補助栄養摂取後60分、90分、120分時で有意な低下を認めた(p<0.01)。乳酸値は摂取後60分時にB-SES実施で有意に上昇を認めた(p<0.01, vs.非実施)。C-ペプチド濃度は両群で有意差を認めなかった。透析後24時間の平均血糖変動幅は非実施と比較しB-SES群において有意(p=0.028)に低値を示した。以上より透析中のB-SESの施行は、補助栄養摂取後の血糖上昇を抑制し、メカニズムとしてインスリン非依存的な血糖降下と考えられ、乳酸が高値を示した事より、糖分解の促進による血糖降下が考えられた。栄養療法とB-SESの透析中の併用は、血糖上昇や変動のリスクを軽減し、骨格筋改善に有用な腎臓リハビリ手法となり得る事を示唆した。2)長期効果:無作為化クロスオーバー比較試験によるB-SESの3ヶ月間継続施行による、グリコアルブミンを指標とした血糖コントロールおよび膝伸展筋力および筋輝度を用いて骨格筋機能改善効果を検討した。完遂した7例においてB-SES施行により、グリコアルブミンはB-SES実施では-1.5%、膝伸展筋力は+2.7kgf、筋輝度は-10.6と改善傾向であったが統計学的有意差は認めなかった。しかし、一部患者群において著明に改善しており、透析中のB-SES実施は骨格筋機能や耐糖能の改善に一部有用である可能性がある。
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Heart & Vessels
巻: 35 ページ: 268-277
10.1007/s00380-019-01486-y
理学療法とちぎ
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