研究課題/領域番号 |
17K18051
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
梅澤 光政 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (00567498)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 疫学 / 感覚器 / 循環器 |
研究実績の概要 |
本研究は、加齢に伴い生じ、罹患者のQuality of Lifeを著しく障害する感覚器の障害について、循環器疾患危険因子との関連を検討するものである。 本年度はデータの収集及びそのクリーニングと分析を行い、1件の学会発表を行うと共に、その結果をまとめた1編の論文を作成した。論文については、BMJ Open誌にacceptされ、現在in pressの状態にある。 分析した内容は、聴覚障害の有所見率及び聴覚障害(定期健康診査における聴力検査有所見)と尿蛋白陽性所見の関連である。有所見率については、日本の1企業において、低音域(1kHz)が1.7%、高音域(4kHz)が4.5%であり、どちらか一方でも該当した者の割合は全体の5.2%であることを示した。次に、尿蛋白陽性所見は腎臓の障害を反映したものであるが、海外では微量アルブミン尿と聴覚障害に関する報告がこれまでに行われてきた。しかし、より尿蛋白が明らかとなっている一般的な尿検査の結果と聴覚障害との関連についてはこれまでに報告がなかった。研究代表者はこの関連について時間軸に対して横断的に検討し、尿蛋白陰性の者と比べ、尿蛋白が2+以上の強い陽性所見を示した者では聴覚障害の有所見率が高いことを示した。この関連は低音域(1kHz)、高音域(4kHz)のいずれも有意であったが、高音域の方がより関連は明確であった。また、一方の耳のみの障害と両方の耳の障害について検討したところ、一方の耳のみの障害のみが有意な関連を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、今年度データ収集やクリーニングを行った上で、日本人労働者における循環器疾患危険因子と聴覚障害の関連について検討を行い、学会発表と論文化を行った。研究開始当初は論文化については平成30年度を予定していたことから、概ね予定通りからやや予定より進んでいる程度の進捗といえる。
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今後の研究の推進方策 |
現在、研究代表者らは聴覚障害を中心にデータの分析を進めている。尿蛋白については時間軸に縦断的に聴覚障害との関連について検討する予定としている。また、尿蛋白以外の循環器疾患危険因子と聴覚障害の関連についても横断的、縦断的に検討したいと考えている。これに加えて、今後視覚障害などについて健康診断のデータから検討していくことを考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
元々の研究計画では、平成29年度にデータの分析・学会発表を行った後、平成30年度に論文化とその投稿を予定していた。しかしながら、論文化が思っていたよりも早期に開始できたことから、その英文校正や投稿、掲載にかかる費用を考え、平成29年度の研究費使用を当初の予定より調整した。そのため、次年度使用が生じたが、これらはBMJ Open誌にacceptされた論文の掲載費用等に充てる予定としている。
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