研究実績の概要 |
本研究では施設入所認知症者に対する身体活動を伴った認知刺激を、集団のセッティングで実施することがもたらす効果について調査を行った。2020年度は新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、他施設での活動の展開を実施することはできなかったため、単施設での効果検証となった。 介護老人保健施設入所認知症者に対して、集団での身体活動と認知刺激を組み合わせた介入を45分、週2回、8週間で実施した。評価項目は、他者とのコミュニケーションなどの社会的活動や、認知機能、筋力、日常生活活動の自立度、生活活動範囲、生活の質(QOL)とした。介入者は認知症リハビリテーションの経験のあるリハビリテーション専門職とし、実施中の参加者の態度・取り組みの様子を記録しながら、次回以降の介入の参考とした。 年齢・性別・ベースライン時のデータを共変量とした共分散分析の結果、社会的活動(F = 8.67, P = 0.008;コントロール群で低下、介入群で維持)やQOL(F = 9.74, P = 0.006; コントロール群で維持、介入群で向上)指標の有意な改善効果の差が認められた。特に、社会的活動については、「身体的に可能な範囲で他人の手助けをする」や「楽しそうである」といった項目で頻度が改善されたことから、集団介入の効果の特徴の反映された介入となっていた。また、集団の参加率は95.0%であった。また言語的な子ユニケーションは51.8%、非言語コミュニケーションは39.9%の対象者に認められ、満足な表情は58.8%の対象者でセッションを通じて見られていた。 本介入研究について、国際誌で成果を報告した。
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