研究課題/領域番号 |
17K18066
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研究機関 | 埼玉工業大学 |
研究代表者 |
小板 丈敏 埼玉工業大学, 工学部, 講師 (00750192)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 衝撃波 / マイクロバブル / 水中放電 / 破砕 / バリ取り / 射出成形 |
研究実績の概要 |
本研究ではプラスチック射出成形品のバリ取り加工の高効率化を行うために、バリ取りを模擬した厚さ0.1 mmの樹脂薄板を対象とし、放電誘起水中衝撃波とマイクロバブルの干渉を用いた革新的衝撃波バリ破砕加工法の確立を目指している。 本年度の研究成果として以下の2点が挙げられる:(1)理論解析による、樹脂バリの破壊強度以上の高圧力なリバウンド衝撃波を発生させるマイクロバブル直径の解明、(2)可視化計測による、本衝撃波バリ破砕法でのマイクロバブル付着薄板の最適設置条件の解明を行った。 (1)理論解析より、放電エネルギーEe = 3.6 J、放電電極と板との間の距離L = 9.0 mmの放電条件において、樹脂薄板に付着させるマイクロバブルの直径がDMB = 40μmの場合、薄板に作用するマイクロバブルのリバウンド衝撃波のピーク圧力は12.5 GPaに達し、樹脂の破壊強度以上であることが判明した。よって、以上の放電条件での衝撃波バリ破砕加工を可能とするマイクロバブル直径は40μmであることが解明された。 (2)可視化計測を用いて、マイクロバブル付着有無樹脂薄板の設置条件が薄板の本破砕へ与える影響を調査した。(1)の放電条件おいて、単発放電誘起の水中衝撃波と単一気泡をマイクロバブル付着樹脂薄板に干渉させた。可視化結果より、設置条件がWater-backed plate modelの場合、マイクロバブルのリバウンド衝撃波だけでなく、放電誘起単一気泡の再膨張の薄板への干渉により、薄板が破砕されることが解明された。一方で、設置条件がAir-backed plate modelの場合、放電誘起単一気泡の収縮とともに、薄板は弾性変形し、薄板は破砕しなかった。よって、本衝撃波バリ破砕加工を可能とするマイクロバブル付着薄板の最適設置条件はWater-backed plate modelであることが解明された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度の研究計画は(1) 理論解析による衝撃波バリ破砕を誘起するマイクロバブル径の調査、(2) 可視化計測による革新的衝撃波バリ破砕加工の実証実験であった.研究実績の概要で記載したように、平成29年度の研究成果は(1) 理論解析を用いて、樹脂バリの破壊強度以上の高圧力なリバウンド衝撃波を発生させるマイクロバブル直径を解明し、(2) 可視化計測を用いて、樹脂バリ模擬をした樹脂薄板に対して、放電とマイクロバブルを活用した本衝撃波バリ破砕の実証実験を行い、そして、本破砕法でのマイクロバブル付着樹脂薄板の最適設置条件を解明した。よって、以上の研究成果より、平成29年度の研究計画はおおむね達成し、本研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
研究実績の概要で示した平成29年度の研究成果(2)において、可視化結果より、マイクロバブルのリバウンド衝撃波の高圧力をパルス的に樹脂バリに負荷させた場合、樹脂バリ破砕が促進することが示唆された。よって、本衝撃波樹脂バリ破砕法を確立させるために、平成30年度はパルス放電装置を用いて、バリ付き射出成形品に対して、パルス衝撃波樹脂バリ破砕加工の実証実験を行う。そして、レーザー顕微鏡を用いて,バリの破砕面を調査し,本衝撃波バリ破砕加工法によるバリ取りの加工精度を評価する。また、本衝撃波バリ破砕加工法と工具を用いた手作業による従来のバリ取り加工法による多数個のバリ取り加工時間,加工精度の比較を行い,バリ取り加工効率を評価する.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度の研究成果において、本衝撃波樹脂バリ破砕法を確立させるためにパルス放電を用いたパルス衝撃波樹脂バリ破砕加工の実証実験が必要となった。本実証実験を平成30年度に実施することになった。この実験で必要なパルス放電装置の電源の購入費が次年度使用額として生じた。
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