研究課題/領域番号 |
17K18070
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研究機関 | 日本薬科大学 |
研究代表者 |
山本 博之 日本薬科大学, 薬学部, 准教授 (10433210)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | セクレチン / セクレチン受容体 / 皮膚 / 紫外線 / プロテアーゼ |
研究実績の概要 |
本研究では、「生理活性ペプチド前駆体」ならびに「活性化に関わるプロテアーゼ」を明らかにすることにより、細胞外において活性化される生理活性ペプチドの新規な調節機構により生成するペプチドを見出すことを目的にしている。 これまでに紫外線曝露後の皮膚において、内分泌ペプチドであるセクレチンの前駆体が皮膚角化細胞で発現していること、またトリプシン様プロテアーゼの発現が亢進することを明らかにしている。一方で、角化細胞で産生されるセクレチン前駆体は細胞内濃度が亢進するものの細胞外への放出は認められなかった。そこで平成30年度は、紫外線曝露後に産生分泌されるトリプシン様プロテアーゼの同定、角化細胞からセクレチン前駆体が放出される機構を明らかにするとともに、分泌されたセクレチンの生理的作用を明らかにするために、皮膚に発現するセクレチン受容体の探索をした。 はじめにビオチンを化学標識するペプチド性の基質を用い、トリプシン様プロテアーゼにビオチンを標識し、トリプシン様プロテアーゼの単離精製を行った。単離したプロテアーゼのタンパク質同定を行ったところ、皮膚線維芽細胞は、紫外線の曝露によりトリプシン-2を分泌していることを明らかにした。次に、セクレチン前駆体を産生する周囲の細胞がセクレチン前駆体の分泌を調節していると仮説を立て、角化細胞とメラノサイトの共培養系を用いて検討した。その結果、紫外線曝露を受けたメラノサイトが角化細胞と接触することがセクレチン前駆体の放出に重要であることを見出した。さらに、皮膚におけるセクレチン受容体の発現をRT-PCR法にて検討した。その結果、ラットの一部の皮膚にセクレチン受容体が発現することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度は、光線曝露によって産生するプロテアーゼの同定と皮膚で産生されるセクレチンの生理活性評価を実施することが目的であった。光線曝露によって産生するプロテアーゼを同定することができた。一方、セクレチンの生理活性を評価する予定であったが、当初予定していた評価系では活性が見られなかった。そこで、セクレチン活性の新たな評価方法を決めるためにセクレチン受容体の分布に着目したところ、一部の皮膚にセクレチン受容体が発現していることを明らかにすることができた。このことから、研究はおおむね順調に進んでいると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
セクレチンは、当初推定していた作用とは全く異なる作用を持つことが推察された。また、皮膚の部位によってセクレチン受容体が発現が異なっていることから、セクレチン受容体が発現する部位からセクレチンの生理活性を推測し、生理活性を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額として計上した研究費は、使用後に残った研究費であり、単独では必要な試薬類の購入に使用しにくいため生じたものである。
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