今年度は、「捕球動作改善のためのICT活用授業実践ーフィードバック&分析評価システムの導入ー」研究の集大成として、ICT(iPad)を用いた児童自身での捕球動作の映像分析及び動作評価の可能性とその効果を、実際に小学校低学年児童を対象に実践し、分析を行った。 実践した授業は、小学校第2学年を対象に、投捕の技能向上を目的とした全5時間のボールゲーム単元であった。単元前後に、捕球テストを実施した。この捕球テストの実施及び撮影は、すべて児童自身で行われた。収集したデータは、「形成的授業評価」「運動有能感測定尺度による調査」「単元前後の動作評価結果」「児童と著者の動作評価結果の一致率」の4つである。 形成的授業評価の結果、「成果次元」と「学び方次元」において向上がみられた。このことから、自身の動作評価を自らで行った学び方により、技能向上の成果を実感したことが推察される。次に、運動有能感調査の結果、統制感の項目が有意に向上がみられた。このことから、「やればできる」感覚をより実感できたのではないかと推察される。一方、動作評価結果は、75%の児童が向上を示し、ハンドキャッチでの捕り方への動作改善がみられた。他方で、児童と著者の動作評価一致率の結果は、59.8%と結果となった。 これらのことから、① 小学校低学年の児童が捕球動作を映像から自己分析評価するのは困難であること。〔評価項目に関して理解させる時間を確保できれば可能か→今後の課題へ〕② 低学年においても、自分の動作を映像で自己分析評価することで、統制感の高まり(「やればできる」の自覚)や成果(技能向上)を強く実感する効果が期待されることが示唆された。
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