研究課題/領域番号 |
17K18078
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
古川 敏明 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 准教授 (90609372)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ハワイ語 |
研究実績の概要 |
消滅の危機に瀕した言語(危機言語)の記述研究は,文法書や辞書の作成に重きが置かれ,話者間の相互行為という視点が十分でなかった.本研究は相互行為という視点から,危機言語の話し言葉データを収集・分析し,従来の危機言語研究を補完・発展させる.以上の全体構想に基づく,具体的な目的は以下の通りである.危機言語を復活させる試みの成功例としてハワイ語がある。しかし、ハワイ語の場合も話者間の相互行為という視点が十分でなかった。本研究はハワイ語ラジオ番組の会話分析を通じて従来の記述研究を補完し、ハワイ語の復活とメディアの関係性を明らかにする。 研究実施計画としては,ハワイ語ラジオ番組カ・レオ・ハワイ(KLH) の第一期及び第二期の録音データの文字起こし を継続し, 文字起こししたデータの分析、詳細な記号化を行うということであった.ハワイ語の再活性化運動の進展状況を考慮すると,第二期を対象とする研究を拡充する必要性が高まっているため,前年度と同様,研究協力者からの協力を得て,第二期の音声ファイルを中心に文字起こしを進め,2020年度は4番組分(約4時間)の文字起こしを完了した. 一方,第二期の文字起こし資料は,ハワイ語再活性化の活動に利用してもらえるよう,ハワイ大学の研究者とも共有することで,コミュニティとの連携を深めることを目指した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定通り,第二期の文字起こしを進めている.また,文字起こし資料に基づき,2019年度は国内外の複数の学会(開催地:ソウル,香港,日本)で口頭発表を行った.9月と11月に二度の現地調査も実施した.さらに,危機言語をテーマとする国際的な論文集の募集に投稿,査読の上で採用され,現在コロナ禍で出版社の編集作業が滞っているが,執筆者の手を離れ,印刷準備中となっている.
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今後の研究の推進方策 |
第二期の音声ファイルの文字起こし・分析を継続するとともに,ハワイ語コミュニティとの連携を深めるため,その成果をハワイ大学の研究者と共有していく.学会での口頭発表については,感染症の拡大が懸念されることから,移動に制約があることを考慮すると,当初予定していた発表を行うことは困難であるので,対面での口頭発表に限定することなく,オンラインでの発表も視野に入れて,研究成果の発表を行い,それに対してフィードバックを受けることを目指す.次年度が最終年度であるが,次々年度のハワイ語新聞をテーマとする国際共同研究Aに採用されたため,ラジオだけでなく,新聞も視野に入れたメディアとハワイ語の再活性化について考察していく.
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次年度使用額が生じた理由 |
採用年度に文字起こしが進み,当初の想定よりも研究協力者に対する謝金が必要になったため,2年目分を前倒しで請求した.しかし,前倒し請求した30万円中10万円程度しか必要でなかった.2年目,3年目は予定通り文字起こしが進展し,想定していた謝金を超過することがなかった.最終年度である4年目に向け,文字起こしの協力者を1名増員することができたので,繰越中の約20万円は謝金として使用見込みである.
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