研究課題/領域番号 |
17K18086
|
研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
只野 喜一 杏林大学, 保健学部, 助教 (20759443)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | ファントム / 拡散異方性 / 拡散テンソル / MRI / DTI |
研究実績の概要 |
本研究では拡散テンソル画像から得られるFA値を絶対評価として活用するための基準となる、任意のFA 値を不変的に維持できるファントムの開発を目的としている。 初年度はこれまでの研究成果から判明していた改善点(大きさ、材質、形状等)について改善を行った。まず、部分容積効果による影響を減少させるためにガラス管径を従来よりも大きなものへと変更し、より安定したFA値の取得を目指した。結果としてより大きな関心領域を用いたFA値測定が可能となり、測定値の信頼性が向上した。しかし、ガラス管径の拡大により圧入作業中における糸の切断等が起こりやすくなり、ファントム作成の難易度が上がったため、この問題に対する解決策を検討している。 また、糸の素材については不変性に優れていると考えられる無機物質を用いた合成糸を中心に様々な太さ、性状の糸について検討を行い、適切な素材についての目途をたてることができた。この検討については初年度中に完了する予定であったが、糸の太さ・性状の組み合わせが多くなったため、今後も目的とするFA値ごとの太さと性状の組み合わせについて詳細な検討を続ける予定である。 また、過去に作成したファントムにおいて水の腐敗によるものと考えられる変色等の変化が表れ始めたため、当初計画していたMR 装置間の再現性評価と校正曲線の取得は保留とし、防腐剤の導入とその影響についての検討を行ったうえで不変性評価を先行して行うこととした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
検討対象とした合成糸の太さ、性状を予定よりも増やし、より詳細な検討を行ったため、初年度中に完了予定であった改良ファントムの開発については現在も進行中である。 また、過去に作成したファントムにおいて水の腐敗によるものと考えられる変色等の変化が見られたため、防腐処理に関する検討を追加したため、当初計画よりも後ろ倒しされている。
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度から継続している糸の検討については早期に完了させる。また防腐処理による経時的影響の評価も必要であるため、当初計画とは異なるが、校正曲線の作成よりも不変性評価を先に行う予定である。また本年度中に学会や論文にてこれまでの成果を報告する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
初年度に国際学会での発表を予定していたが研究の遅れにより見送ったため次年度使用額が発生した。この分の予算については加速劣化試験の外注もしくは恒温装置の購入に使用する予定である。
|