小児期高次脳機能障害患者・家族の生活困難さに関する概念モデルと尺度開発に向けて、以下の通り実施した。 1)小児期高次脳機能障害患者・家族の生活困難さ日常生活場面ごとに(食事場面、行為場面、就学場面など)回答欄を設定し、箇条書きにて記記入してもらった。患者家族(30 名)および、支援した経験のあ るリハビリテーションスタッフ(20名)、特別支援学校教員(30 名)、支援コーディネーター等行政職員(10 名)の約100 名を対象とした。結果、患者家族20 名、特別支援学校教員20名より回答が得られた。得られた回答からは196項目が抽出された。重複した表現を集約し、一つの文に複数の意味を有する文章を分ける作業を作業療法士3名で行い、179項目に整理した。179項目に対して、作業療法士40名にカテゴリ分類の実施を依頼した。得られたカテゴリをもとに類似性行列を作成し、クラスタ分析を行い16クラスタに分類された。解析ソフトIBM SPSSを用いてその頻度・分散を確認した。 2)概念モデルの作成 小児の高次脳機能障害患者家族会に属し、高次脳機能障害の子供を持つ母親6名にインタビュー調査を実施した。子供の障害の内訳は、インフル エンザ脳症1名、急性脳症2名、脳出血1名、脳外傷1名であった。家族のインタビューから、支援者によって家族の負担感が大きく影響することが聞かれたため、3名の支援者にインタビューを実施した。支援者の内訳は、特別支援学校教員2名、通所施設で実際に対応する作業療法士1名であった。いずれも10年以上の経験年数と、子供の高次脳機能障害の支援経験を有していた。インタビューガイドを作成し、ガイドに沿って半構造化面接を実施した。インタ ビュー内容はボイスレコーダーで録音し、その後逐語録を作成した。聴取内容から逐語録を作成し、内容により段落分けを行った。区分した内容から概念付けを実施した。
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