研究課題
本研究は、「心機能低下による脳血流量低下が認知症発症リスクを高める」という仮説を検証するために、心臓収縮・拡張機能が脳血流量低下に関与するかを検討している。本年度は、心疾患および脳血管疾患の既往のない者63名(59±22歳、女性31名)を対象に、仰臥位で左室心機能の指標である、1回拍出量(SV)、駆出率(LFEF)、左室容量(LVmass)を3次元心臓超音波法を用いて評価した。合わせて、前駆出時間(PEP)、駆出時間(ET)およびそれらの比(ET/PEP)は、心音図法から評価を行った。また、ETは心拍数の影響を受けることから心拍補正を行い用いた(ETc)一方、脳血流は中大脳動脈血流速度(MCAv)を経頭蓋ドップラー法を用いて測定した。その結果、SV、LVEF、LVmassおよびPEPは、MCAvと関係は認められなかった。一方、ETcはMCAvと有意な関係を示した(β=0.25、P=0.02)。また、ET/PEPとMCAvとの間にも有意な関係が認められた(β=0.22、P=0.04)。以上の結果から、心音図から測定した左室収縮機能は脳血流と関連していることが示された。本研究から、心機図法による左室収縮機能と脳血流との間に有意な関連性がみられ、脳血流の変化に心機能が関連いている可能性が示された。本研究は、第66回 Amerian College of Sport Medicine(ACSM) annual meetingにて「The relationship between left ventricular systolic function and cerebral blood flow」という題目で発表を行った。
2: おおむね順調に進展している
高齢者の脳血流量および心機能評価は本年度でほぼ終了し、現在は解析を進めているところである。
測定データの解析および論文執筆を進める。
リクライニングチェアーの購入を予定していたが、既存のベッドでの測定が可能となり購入の必要がなくなったため。
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