本研究課題は理論物理学における普遍的な手法である場の量子論,特にゲージ理論の真空構造に創発する幾何的・代数的構造の解明を目的としたものであり,その結果として:我々の先行研究によって明らかにした箙ゲージ理論の背後にある無限次元代数である箙 W 代数の分化箙 (fractional quiver) への一般化,および量子可積分系との関係解明・位相的弦理論と無限次元代数の表現論に基づいた新しい箙ゲージ理論の構成・ゲージ折紙と呼ばれる高次元空間理論に潜む量子可積分構造の解明,などの成果が得られた.
最終年度である本年度も引き続き超対称ゲージ理論の背後に潜む数理的構造の解明に向けた研究を行い,特に超群をゲージ対称性として伴うゲージ理論に対する様々な視点に基づいたアプローチを行った.具体的には超対称同変局所化の方法に基づいた超群ゲージ理論の厳密解析,超群ゲージ理論の所謂 Nekrasov-Shatashvili 極限における量子可積分性の解明,超群ゲージ理論と位相的弦理論との対応関係に基づいた新しい位相的振幅の計算手法の開発,などである.
また他にも関連の研究として,q-変形無限次元代数である丁-庵原-三木 (Ding-Iohara-Miki) 代数とゲージ理論間の対応の一般の有限箙・アフィン箙への拡張,ゲージ折紙によって構成される超群ルート系に付随した量子可積分系の研究,BPS/CFT 対応に基づいた箙多様体の同変体積,および qq-指標に対する積分公式の導出,などを行った.
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