研究課題/領域番号 |
17K18092
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
小賀 麻菜 (飯塚麻菜) 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (80734821)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 自己免疫疾患 / CD4+ T細胞 |
研究実績の概要 |
シェーグレン症候群 (Sjogren’s syndrome; SS) は、慢性唾液腺炎、涙腺炎を主徴とする臓器特異的自己免疫疾患である。標的臓器の導管、腺房周囲には自己反応性CD4+ T細胞の著しいリンパ球浸潤が認められ、腺房の破壊や萎縮により乾燥症状が引き起こされる。SSの発症に関わる病因CD4+ T細胞を同定し制御することは、疾患特異的治療法を開発する上で非常に有用である。そこで、SSと非常に類似した病態を呈する新規モデルマウス (RORγtトランスジェニック (Tg) マウス) を用いて、病因性T細胞の同定とその制御法について研究を行った。 病変局所に浸潤するT細胞の機能について明らかにするため、RORγt Tgマウスの唾液腺に浸潤したT細胞を分離し、Rag2欠損マウスへ移入した。その結果、CD4+ T細胞は移入したRag2欠損マウスの唾液腺に再集積を認めたが、CD8+ T細胞は認めなかった。また、移入した病因CD4+ T細胞は、腸管膜リンパ節への優位な遊走を認めた。そこで、腸管への遊走に関与するケモカインCCR6の発現を調べた。コントロールマウスと比較してRORγt TgマウスのCD4+ T細胞におけるCCR6発現は、有意に亢進していた。転写因子RORγtによるCCR6の発現制御が報告されており、唾液腺発症との関与が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
唾液腺に浸潤したT細胞をRag2欠損マウスへ移入することにより、病因細胞を特定できた。また、CCR6を介した唾液腺炎発症と腸管組織の関連について示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
唾液腺炎発症に寄与する病因CD4+ T細胞の遊走特異性が明らかとなった。今後は、唾液腺炎発症における腸管組織との関連ついて、明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究は当初の計画通りおおむね進行したが、研究費の使用がややずれ込んだため次年度使用額が生じた。次年度使用額は、試薬やマウスの購入に使用する計画である。
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