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2019 年度 実績報告書

慢性疼痛における神経成長因子シグナリングの解明と新規治療薬の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K18093
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

加藤 純悟  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (40465018)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード神経成長因子 / 先天性無痛無汗症 / 慢性痛 / 鎮痛薬 / 骨破壊
研究実績の概要

本研究では、骨・関節に特異的に痛覚が欠如する先天性無痛無汗症V型(HSAN-V)という遺伝性疾患に着目し、疾患の機序の解明と新規鎮痛標的の同定を試みてきた。本疾患で認められる神経成長因子(nerve growth factor)の変異を再現したノックインマウス(hR100E NGFマウス)を確立し、表現性の解析を進めてきた。我々独自のdynamic weight bearingシステムを用いた行動解析の結果、hR100E NGFマウスでもHSAN-V患者と同様、健常時の皮膚の触覚は正常であるのに対し、炎症・外傷時の骨関節の痛み様行動が顕著に減弱していることが見出された。
唾液腺を用いたウエスタンブロットでは、hR100R NGEマウスにおいても成熟NGFが分泌されていることが証明され、hR100Eマウスの無痛様表現系は、NGFの成熟・分泌異常ではなく、NGFとその受容体を介したシグナル変異であることが示唆された。
NGF抗体を用いた鎮痛では骨関節の破壊が急激に進むことが懸念されるが、hR100Eマウスの骨関節をマイクロCTで解析した結果、 NGF変異ではむしろ骨関節に対して保護的に働くことが示された。また、末梢神経および皮膚組織の免疫染色では、神経系の発達に異常が認められないことからhR100E変異によるNGFシグナリングの変異は、骨保護作用を有するユニークな鎮痛標的になりうることが示された。
これらのことから、HSAN-Vでは、変異NGFによるシグナリングの変化が骨関節の無痛状態に寄与していること、またhR100E NGF変異によるNGFシグナリングの変異を薬理学的に再現できれば、骨保護作用を有する強力な鎮痛効果が期待できることがわかった。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 国際共同研究 (2件)

  • [国際共同研究] Karolinska Institutet(スウェーデン)

    • 国名
      スウェーデン
    • 外国機関名
      Karolinska Institutet
  • [国際共同研究] Universidad Autonoma de Tamaulipas(メキシコ)

    • 国名
      メキシコ
    • 外国機関名
      Universidad Autonoma de Tamaulipas

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公開日: 2021-01-27  

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