本研究では,物体の認識・検出に特化した新しいロボットの「眼」を作ることを目標に,RGBデータのみならず,ハイパースペクトルデータを用いての物体認識・検出手法の開発を進め,成果発表を行った. ハイパースペクトルカメラは,紫外-可視-近赤外線域で波長毎のバンド情報を取得可能なセンサであり,人の目やRGBカメラでは捉えられなかった物体間の特性の違いを詳細かつ照明変化に頑健に捉えられることが知られているが,物体認識について議論している既存研究は非常に少ない. 本研究では,ハイパースペクトルカメラを用いて,物体認識のためのデータセットを新たに構築し,ハイパースペクトルデータが,人の目では識別不可能な物体間の違いを,従来のRGBデータよりも詳細かつ照明変化に頑健に表現できることを実験により確かめ,成果発表した.また,人工物ではなく,農作物などの自然物の認識や同定において,マルチスペクトルデータが有効であることを検証し,成果を発表した. また,RGBデータにおいても,今までにない物体認識への生かし方を模索すべく,RGB画像から3次元画像センサなどを使うことなく,直接,物体の基本形状を推定し,物体認識のための特徴として用いる手法を提案した. 実環境にロボットを導入する際,既学習の物体のみならず,未学習の物体にも対応できることは必須となる.そこで,未学習物体検出のための新規アルゴリズムを提案した.本手法はRGBデータのみならず,ハイパースペクトルデータにも拡張可能である.
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