研究課題/領域番号 |
17K18105
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
松本 典子 駒澤大学, 経済学部, 准教授 (90453563)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 協同組合 / 労働者 / 資本主義 / 国際比較 / 日本 / アメリカ / イギリス / ガバナンス |
研究実績の概要 |
当該研究の目的は、現代資本主義社会に対抗するためのアソシエーションの1つとして世界的に注目され着実に成果を出し始めている労働者協同組合(以下、労協)を研究対象とし、「階級的見方」「アソシエーション研究」そして「経営学(特に協同組合ガバナンス)」の観点から、イギリスおよびアメリカの労協の機能を分析し、日本の労協にとって必要なガバナンスを提示することである。 当該年度は、近年刊行された労協に関する図書や論文、報告書などの資料を整理したうえで理論的研究を深めて、それに基づき実証的研究に必要なインタビュー調査票を作成した。6月には、労務理論学会において、アメリカ労協の文献研究から明らかになったことをまとめて報告した。11月には、明治大学で開催された研究会「アメリカの事例から学ぶ働く場づくりとまちづくり―労働者協同組合と労働組合の連携を探る」に参加することで、アメリカの労協の現状を知る実践家から、その一端について情報を得られることができた。 当初の研究計画以外にも、日本における労協の文献や資料等を調査し、協同組合全般に関する複数の研究所(労協系、農協系、生協系)に訪問して、最近の労協や協同組合に関する日本の動向や情報を獲得した。その結果、日本の労協に関しても、訪問インタビュー調査の必要な先進事例が複数あることが明らかになってきた。当該年度に得たこのような情報は、来年度の調査・研究に反映させ、最終年度に日本の労協にとって必要なガバナンスを提示するために活用することができるだろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した通り、当該年度は、近年刊行された労協に関する報告書などを整理し、理論的研究を中心に行い、訪問インタビュー調査票を作成できた。アメリカ労協の文献研究をまとめて学会報告を行ったことによって、学会員からさまざまな意見をいただくことができた。いただいた意見を踏まえて学会誌に投稿して研究成果を公表することができた。 年度末にはイギリスの労協および支援組織に訪問インタビュー調査を行うことも予定していたが、理論的に研究に時間がかかったため、交付申請書に記載した通り、調査は平成30年度(あるいはそれ以降)に行うことにした。 以上のことから研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は当該年度に得られた研究成果を踏まえて、アメリカの労協および支援組織に訪問インタビュー調査を行う。その結果に基づき、現代資本主義社会における労協の機能とガバナンスを検討する。研究成果は、引き続き学会報告および学術論文等で発信する。 また次年度から、日本の労協にとって必要なガバナンスを提示するために、日本国内の労協の先進事例を労協の研究所(協同総合研究所)とともに選定して、訪問インタビュー調査に行く予定である。調査対象が増える場合には、イギリスにおける労協および支援組織対する訪問インタビュー調査を次年度に延期するか、メールでの調査に切り替えたいと考えている。 最終年度には、前年度までに行った調査結果に基づき、現代資本主義社会における労協の機能とガバナンスを検討する。日本国内に関しては補足調査を行うことも考えて経費を計上している。研究成果は学会報告および学術論文等で発信する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)当該年度に予定していたイギリスへの訪問インタビュー調査を理論的研究との関係で次年度以降へ延期することになったため、出張に係る旅費を基金の制度を活かして次年度以降に請求させていただくことにした。 (使用計画)次年度使用額は、今の段階ではイギリスへの訪問インタビュー調査に充当する予定ではあるが、当該年度の理論的・情報収集から、日本国内の労協についても先進事例の訪問インタビュー調査を実施する必要が生じたため、イギリスにおける労協および支援組織に対する訪問インタビュー調査はメールでの調査に切り替えて、日本の労協および支援組織への調査費用に充当させていだたく可能性もある。
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