研究課題/領域番号 |
17K18105
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
松本 典子 駒澤大学, 経済学部, 准教授 (90453563)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 協同組合 / 労働者 / 資本主義 / 国際比較 / 日本 / アメリカ / イギリス / ガバナンス |
研究実績の概要 |
当該研究の目的は、現代資本主義社会に対抗するためのアソシエーションの1つとして世界的に注目され着実に成果を出し始めている労働者協同組合(以下、労協)を研究対象とし、「階級的見方」「アソシエーション研究」そして「経営学(特に協同組合ガバナンス)」の観点から、イギリスおよびアメリカの労協の機能を分析し、日本の労協にとって必要なガバナンスを提示することである。 当該年度は、前年度に引き続き理論的研究を深めるとともに、それを踏まえて作成したインタビュー調査票に基づいて、ニューヨーク市の労協および国内の労協にインタビュー調査を実施した。6月には、日本比較経営学会にて日本の労協の現状を報告し、大学の紀要に詳細をまとめた。8月末に行ったニューヨーク市の労協調査については、労協の研究所が発行する月刊『協同の發見』誌で連載を行い、日本の労協で働く人たち、そして労協を研究する人向けにニューヨーク市の現状を発信した。ニューヨーク市には限定されているが、アメリカの労協の機能を経営学的な側面から分析し、日本の労協にとって必要な機能やガバナンスも提示することができた。 前年度に得られた日本の労協に関する情報をもとに行う国内インタビュー調査については、当該年度は残念ながら1件しか実施することができなかったが、労協がおこなう研究イベントに参加したり、労協の支援組織の中核人物にヒアリングを重ねることによって、次年度に調査対象とすべき先進事例が前年度より明確にできた。次年度は複数件の国内インタビュー調査を行うことによって、日本の労協に必要な事項を考察したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した通り、当該年度は、前年度に作成した訪問インタビュー調査票や文献研究を元に、ニューヨーク市に訪問インタビューを実施し、国内調査も開始することができた。ニューヨーク市で得られたアメリカの労協の情報は、日本の労協の研究所が発行する月刊『協同の發見』誌で連載を行い、研究成果を公表することができた。 当該年度にイギリスの労協および支援組織に訪問インタビュー調査を行うことを予定していたが、アメリカおよび国内のインタビュー調査の準備や研究成果報告に時間がかかってしまったため、イギリス調査は平成31年度に行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は当該年度に得られた研究成果を踏まえて、アメリカの労協および支援組織に引き続き補足調査を行う。その結果に基づき、現代資本主義社会における労協の機能とガバナンスを検討する。研究成果は、引き続き学会報告および学術論文等で発信する。 また、日本の労協にとって必要なガバナンスを提示するために、労協の研究所(協同総合研究所)とともに選定した日本国内の労協の先進事例に訪問インタビュー調査に行く。調査対象が増える場合には、イギリスにおける労協および支援組織に対する訪問インタビュー調査をメールでの調査に切り替えたいと考えている。 最後に、前年度までに行った調査結果に基づき、現代資本主義社会における労協の機能とガバナンスを検討する。研究成果は学会報告および学術論文等で発信する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)当該年度に予定していたイギリスへの訪問インタビュー調査を次年度以降へ延期することになったため、出張に係る旅費を基金の制度を活かして次年度に請求させていただくことにした。 (使用計画)次年度使用額は、今の段階ではイギリスへの訪問インタビュー調査に充当する予定ではあるが、当該年度の理論的・情報収集から、日本国内の労協についても先進事例の訪問インタビュー調査を実施する必要が生じたため、イギリスにおける労協および支援組織に対する訪問インタビュー調査はメールでの調査に切り替えて、日本の労協および支援組織への調査費用に充当させていだたく可能性もある。
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