研究課題/領域番号 |
17K18106
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研究機関 | 実践女子大学 |
研究代表者 |
猪熊 作巳 実践女子大学, 文学部, 准教授 (90711341)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 名詞句構造 / 一致現象 / AAVE / be動詞 |
研究実績の概要 |
研究実施計画で述べた通り、本研究では名詞句構造の解明に寄与する広範なデータの収集が必須である。一方で、日本語や(標準的)英語のような、名詞句の形態変化が比較的乏しい言語を対象に名詞句の統語構造を検証するにあたっては、表層的に観察可能な名詞句の構造のみを考察対象とするだけでは不十分であり、より間接的な統語現象によって分析を補完することが重要である。 この観点から、今年度は文中において名詞句が主語として生起する際の、動詞との一致(agreement)パターンに注目し、その一致パターンを通じて、当該名詞句が持つ統語的素性を明らかにする方略について研究を進めた。 具体的な方法としては、主にアフリカ系アメリカ人によって用いられる英語変種(いわゆるAAVE)を分析対象とし、そこで用いられるbe動詞の変異パターンについて実証的な研究を進めた。このような言語変種についての研究は、往々にして文化的、または統計的な観点からの議論にとどまりがちだが、猪熊(2020)においては、be動詞が生起する文法環境(すなわち、時制や主語の人称・数、文の極性など)を詳細に分析することによって、標準英語からの「逸脱」ととらえられてきた現象が、AAVE独自の規則性をしめすこと――したがって、AAVEの主語・動詞一致現象に対しても、統語理論が措定しているような文法メカニズムによる説明が適用可能であること――を明らかにした。翻って、この成果からはAAVEの名詞句が標準英語とは異なる統語的素性を持つことが示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
年度末の新型コロナ禍の影響を受け、学会活動の中止が続いたため。また同時に、当該研究以外の業務が急増したため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き広範な言語、および広範な構造に関するデータを蓄積・整理しながら、名詞句内部構造と一致現象の両側面から研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度に従事した国外研修のため、当初の研究計画を1年間後ろ倒しにしたため。2019年度に遂行予定であった研究活動を2020年度に遂行する予定である。
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