研究課題/領域番号 |
17K18106
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研究機関 | 実践女子大学 |
研究代表者 |
猪熊 作巳 実践女子大学, 文学部, 准教授 (90711341)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 名詞句 / 統語構造 / 意味解釈 |
研究実績の概要 |
名詞句の言語学的諸相を中心に、その習得の問題と概念化という心理学的問題について考察を進めた。 英語のthis/thatや日本語の「この/あの」に代表される、指示詞を伴う名詞句は、典型的には話者の眼前に存在する対象を指し示すという「直示性」を持つ。と同時に、これらのタイプの名詞句には、典型的には(同一の性質を持つ)集合を意味する語彙名詞が生起し、その集合の中から、指示詞の意味機能によって特定の個体(群)を抽出する、という意味解釈を受ける。 指示詞付き名詞句が持つこの2つの典型的な特徴それぞれについて、一見反例と思われる事例が報告されている。前者については「Generic Demonstrative」と呼ばれる構造―すなわち限定詞が用いられているにもかかわらず、総称的な解釈を受ける名詞句―であり、後者については、「Affective Demonstrative」と呼ばれる構造―既知の固有名が指示詞とともに用いられ、固有名が指示する対象に対する話者の主観的評価が示唆される名詞句―がそれにあたる。 この2つの特異な構造は、両者ともに話者の主観的評価が示唆されるという点で共通性を示す一方、前者の構造では普通名詞が生起し、後者の構造では固有名が生起するという相違も見られるが、語彙名詞を「カテゴリーに対する固有名」ととらえ直すことによって、統一的な説明を与える可能性を検討した。 この分析によって、語彙名詞と固有名を相互に排他的なカテゴリーとみなすのではなく、それぞれの語彙項目が指示する集合の大きさ・具体性によって相対的に位置づけられる、単一の連続的なカテゴリーとみなす方向性が立ち現れ、対象の「概念化」という心理学的問題にも重要な示唆が提供される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響により、大学キャンパスの閉鎖や校務の増加、学会活動の中止などが続いたため。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症の影響は続くことが予想されるため、現地調査や学会活動への制限は今年度も継続すると思われる。リモートによる活動、文献調査、論文執筆を中心に据え、本研究の総括を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の拡大による大学キャンパスの閉鎖、校務負担の増加、学会活動の中止・中断のため。影響は今年度も続くと思われるため、旅費や学会活動に予定していた経費はリモート対応や文献調査などにあてる予定である。
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