研究課題/領域番号 |
17K18108
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
神保 圭佑 順天堂大学, 医学部, 助教 (80772350)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 小児 / 腹部超音波検査 / 消化器疾患 / 腸管血流 / power doppler / SMI / vessel density / vascular index |
研究実績の概要 |
腹部超音波検査は非侵襲的で放射線被ばくを伴わない検査法で、CTやMRIを撮像するにあたり鎮静が必要な小児科領域において、超音波検査は無鎮静でも実施可能で成人領域と比較してもその有用性は高い。近年、超音波検査機器の開発技術の向上により、doppler技術も発達し、視覚的に細部の血流まで捉えることも可能となってきた。しかし、微細な血流をとらえても、血流の強弱の判定は術者の視覚的評価により、客観性が乏しいことが超音波検査の短所であった。我々は超音波検査により得られた血流像を2つの方法で定量化し、種々の小児消化器疾患において数値的な疾患特異性が存在するかを検討している。平成30年度の計画として、(1)8-12MHzの高周波リニアプローブを用い、明らかに体動で不鮮明に描出された画像は使用しない方針で、B-modeによる腸管壁肥厚、腸管拡張、腸間膜肥厚などの異常所見検索、画像撮像・保存を行い、観察対象部に対するPDIとSMIによる腸管血流の評価(各部位に対して最低5か所以上の静止画と動画 (5-10秒程度)を撮像・保存)を行っている。ImageJ (National Institute of Health, Bethesda, MD)による画像の変換と解析は一部の症例に対し実施したが、まだ全症例に対しては実施しておらず、症例集積完了時には総じて行う予定である。SMIで得られた動画は同期してVIが計測されるため、ハードディスク内に画像保存を行っている。現時点での症例数は40症例ほどである。(3)統計解析に関しても、症例集積が完了次第、順次行っていく予定である。また、当研究で解析した一部の症例(新生児乳児消化管アレルギー)に関するデータを用い、研究論文1編を英文誌(Allergology Internatinal)に投稿し、掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成29年度も報告したが、研究に使用するための超音波検査機器 (Aplio i800, Canon Medical)の当科への納入予定が、種々の事情もあり、計画当初よりも8ヶ月以上遅延したため、それに伴い症例集積も大幅に遅延している。
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今後の研究の推進方策 |
現在、遅延分を取り戻すべく、症例集積を進めている。Aplio i800を使用しなければ進められなかった、SMIやvascular indexのデータ解析に関しては大幅に遅延しているが、他の機器でも解析が可能であった、Vessel densityに関するデータを使用し、英語論文を1編掲載することもできた。今後、最終的な統計解析を実施するのに必要な症例数を達成するため、症例を増やしていく予定で、現在、着実に増加していることから、さらに積極的な症例集積を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定よりも超音波検査における消耗品の使用がなかったことが影響していると思われる。研究が進むにつれ、経費、学会発表とそれに伴う交通費などの使用は増加すると考えられる。また、研究書、参考書、画像評価デバイスの購入なども今後、行っていく予定である。
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