研究課題/領域番号 |
17K18112
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
唐沢 浩二 昭和大学, 薬学部, 講師 (90595951)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | miRNA / NASBA / ピロリン酸 / PPDK / イソルミノール化学発光 |
研究実績の概要 |
NASBA法 ターゲットmiRNA(miR-196a)を増幅するために、RT-PCR用のloop primerを改良し、NASBA用に適したprimerを開発した。Primerは、Revese transcriptionの2種類のprimer(T7-RT primer、stem loop primer)と、NASBAの2種類のprimer(T7-N-F-primer、N-R-primer)とした。次に、miRNAの最適な検出を行うために、NASBA反応の諸条件(試薬・酵素濃度、温度管理、buffer組成など)を検討した。その結果、41℃ 90 minのNASBA反応によりターゲットのmiRNAをRT-PCRなしで増幅可能となった。現在は、4種のprimerの影響で副産物が多く検出されていることから、より特異的にmiRNAを増幅するために、酵素濃度やbuffer組成を検討中である。 イソルミノール化学発光法 はじめにピロリン酸標準品を過酸化水素に変換するためにGAPDH酵素を用いて反応させたが、ピロリン酸をイソルミノール化学発光により検出できなかった。原因検索の結果、GAPDHの反応系では基質としてGAPを用いるが、このGAPがイソルミノール化学発光の妨害物質として働いていることを確認した。よって、ピロリン酸を、Pyruvate phosphate dikinase (PPDK)を用いてピルビン酸に変換し、ピルビン酸オキシダーゼもしくはピルビン酸デヒドロゲナーゼとNADHを用いて過酸化水素に変換する系に変更した。その結果、イソルミノール化学発光によりNADHおよびピルビン酸の検量線を作成できた。現在は、ターゲットのピロリン酸の検量線の作成を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NASBA法によるmiRNA増幅法の検討は、おおむね順調に進んでいる。 イソルミノール化学発光法によるピロリン酸の検出は、ピロリン酸からの過酸化水素変換過程においてGAPDH酵素を用いて反応させたが、イソルミノール化学発光により検出できなかったことから、当初の計画通りには進行しなかった。しかし、以前より当研究室で用いていたPPDKと、ピルビン酸オキシダーゼおよびピルビン酸デヒドロゲナーゼの系に変更することで、対応可能となったことから、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
NASBA 今後は、NASBA法によるmiRNAの増幅過程において混合するprimers・dNTP・reaction buffer・RT emzyme・NASBA enzyme mixture (AMV-RT, RNaseH, T7 RNA polymeraseの濃度検討により、より特異的なmiRNAの増幅を検討する。また、反応時間は現在41℃ 90 min反応させることで増幅しているが、今後は徐々に反応時間を短縮させていく予定である。
ピロリン酸の検出 PPDKとピルビン酸変換酵素によるピロリン酸検出系の検討を進める。つまり、反応に用いるPPDK、Phosphoenol pyruvate、Adenosine monophosphate、NAD、1-mPMSの濃度、さらには混合するbufferの種類やpHを最適化する。イソルミノール化学発光においては、PPDK等により発生した過酸化水素をmicro-PODとisoluminol発光試薬による検量線を作成し、NASBA増幅産物由来のピロリン酸検出の検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度の残高について、当初予定していたイソルミノール化学発光法におけるGAPDH反応系の試薬を購入予定であったが、反応系をPPDK反応系に変更したことにより試薬購入が変更になったため、今年度にPPDK反応系に用いる各試薬や酵素に残高を使用する予定である。
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