研究課題/領域番号 |
17K18117
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研究機関 | 津田塾大学 |
研究代表者 |
藤波 伸嘉 津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (90613886)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | オスマン帝国 / ギリシア / 国際法 / 憲法 / 行政法 |
研究実績の概要 |
本年度は本研究課題の三年目であり、前年度までの成果を踏まえる形で研究を進めた。研究実施計画の項に記した通り、家庭の事情もあって長期間の在外調査が困難な状況にあること、また他方で、本研究が対象とする時期に公刊された史料の多くがウェブ上で入手できることから、普段からできる限り史料の収集と分析を行なうことを心掛けた。このかん、特に重点的に調査したのは、オスマン帝国末期に活躍した法学者アフメト・シュアユプ、同じく帝国末期からトルコ共和国初期にかけて活躍した法学者ジェラーレッティン・アーリフ、そして帝国末期に活躍し、後にギリシアに移住したギリシア人法学者エレフテリアディスの著作である。前年度までの成果と併せて、オスマン/トルコ一国史的でも、単なる二国間の比較でもない、オスマン/トルコとギリシアの両者を総合する公法学史の叙述について、大まかな構想を描くことができるようになった。このほか、本研究課題に関わる形で、いくつか論文を執筆することができた。そのうちの一部は別項に記す通り公刊され、他の一部は現在印刷中ないし編集作業中である。他方、今年度は在外調査という点では成果が乏しかった。8月にはライプツィヒとイスタンブルでの調査を予定していたが、家庭の事情により中途での帰国を余儀なくされた。不足を補うべく9月初めにイスタンブルに赴き、首相府オスマン文書館で史料収集を行なったが、極めて短期間の滞在に留まった。3月に予定したイスタンブルでの調査は、新型コロナウイルス感染症による情勢の急変により、中止を余儀なくされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述の通り、不可抗力ながらも、今年度は海外での史料収集という点で極めて成果が乏しく終わった。研究書の読み込みや収集済み史料の分析、そして研究成果の発表という点では一定の進展が見られたが、総合的には、「やや遅れている」という評価を下さざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
今年度には在外調査がほとんどできなかった分を取り戻すべく、できれば2020年夏と2021年春のそれぞれに、イスタンブルでの史料収集を行ないたい。ただし、新型コロナウイルス感染症をめぐる国内外の情勢は極めて不透明なので、その時々の情勢を睨みつつ、できることを進めていくしかないと考えている。なお、既に掲載決定済みで編集作業中の論文がいくつかあるので、その推敲と校正に万全を期しつつ、現在読解を進めている史料に基づく新たな研究論文の執筆に取り掛かりたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、3月に予定していた在外調査が中止を余儀なくされたため、旅費相当として残してあった額がほぼそのまま次年度使用額として繰り越される結果となった。なお予断を許さない情勢が続くが、次年度については、実現可能な計画を練り直し、適切な執行を心掛けたい。
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