研究課題/領域番号 |
17K18121
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
小西 康貴 帝京大学, 医学部, 助手 (00779506)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 術後チューブ抜去 / 術後せん妄 / 医療事故 / 医療安全 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、安全な周術期管理のために麻酔後の医療事故を予防する包括的な方法を、事故の発生機序の解明および麻酔管理による予防策の効果検証により明らかにすることである。具体的には、インシデントレポートを用いた後ろ向き研究(1)、麻酔薬を使用した無作為化比較試験(2)を行う。(1)では麻酔後1週間の医療事故発生に関連する要因を、術後せん妄や痛みなどの患者要因・術式や麻酔法などの手術要因・事故発生時の管理体制などの環境要因について探索する。(2)では、術後せん妄を予防する効果があると報告されている麻酔薬を使用し、チューブ自己抜去事故などの医療事故、術後せん妄、術後疼痛などのアウトカムへ与える影響を検証する。 平成29年度は、主に(1)の後ろ向き研究を進めた。まず、帝京大学附属病院における麻酔後1週間の医療事故発生状況をインシデントレポートから把握した。特に術後チューブ自己抜去事故の発生に関連する患者要因・手術要因・環境要因を同定し、術前リスク因子として明らかにした。結果を学術論文としてまとめ、国際誌に現在投稿中である。 (2)の無作為化比較試験については、まずは試験実施のためのプロトコールを帝京大学大学院公衆衛生学研究科の協力の下作成し、試験実施に向け帝京大学倫理委員会の承認を得た。また、帝京大学医学部麻酔科学講座、TARC(帝京大学臨床研究センター)、および手術室専従薬剤師などとの協議を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)の後ろ向き研究については、データ収集・解析・論文作成を順調に進めることができた。(2)の無作為化比較試験については、倫理委員会の承認を受け、試験実施に向け具体的な協議を進めており、研究はおおむね順調に進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は(1)の後ろ向き研究については学術論文としての発表を目指し、(2)の無作為化比較試験については、研究プロトコールに基づき試験登録を行った上、試験を実施する。そして試験で収集したデータの解析・論文発表は帝京大学公衆衛生学研究科と協力して行う。その際、以前から術後せん妄に関する無作為化比較試験の実施経験のある豪州St.Vincent病院麻酔科からも助言を得る予定である。研究結果は学術論文としてまとめ、今後の医療事故対策の立案に役立てる。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年は、(1)の後ろ向き研究の実施、(2)の無作為化比較試験の研究プロトコールの作成を集中して行ったため、試験に必要な物品費を当初の予定より安価に抑えることができた。平成30年度には無作為化比較試験に必要な麻酔薬などを購入する予定である。
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