新生ポリペプチド鎖は、正しい立体構造へフォールディングすることで生理活性を発現する。一般的にシステイン残基間での酸化的なジスルフィド架橋が連動するフォールディング反応は、Protein disulfide isomerase(PDI)が制御している。PDIの活性中心に存在するチオール基は、しばしば活性酸素(あるいは窒素)種によって修飾され、酵素活性が減退、ひいてはフォールディング不全を助長する。神経変性疾患の原因ともなるミスフォールド体の生成を抑制する為、①抗酸化活性能、②失活PDIの再活性化能、③フォールディング促進能、の3つの触媒活性を有する新規環状ジセレニド化合物の合成に取り組んだ。
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