研究課題
脳梗塞後遺症に対する再生医療に期待が集まり、骨髄間葉系細胞の静脈投与による治験が開始されている。しかし静脈投与では肺など目的外臓器に取り込まれ治療効果が減弱する可能性がある。脳梗塞に対する経動脈的細胞投与を検証可能な動物モデルを開発するためには、再現性の高い脳梗塞モデルの確立が急務である。本研究において、デジタルサブトラクション血管造影装置を用いた経皮的尾動脈穿刺によるラット脳梗塞モデルの作製に成功した。低侵襲かつ短時間(尾動脈穿刺から塞栓終了までの時間は約10分間)に中大脳動脈領域脳梗塞を再現可能である。尾動脈にカテーテルを留置することで、脳梗塞モデル作製後に脳血管造影を繰り返し行えるため、閉塞血管や再開通、血管再生の評価が可能である。また治療介入についても、超選択的に標的動脈へ直接薬剤投与が繰り返し可能である。さらに尾動脈穿刺のみで作成可能な低侵襲動物モデルであるため、実験動物の苦痛は軽減し動物愛護の観点からも望ましいモデルである。本技術を応用し、小型霊長類であるコモンマーモセットの経皮的尾動脈穿刺による脳血管造影に成功し、原著論文として報告した(DOI: 10.1371/journal.pone.0250576)。また、脳梗塞モデル作成だけでなく再生治療にも応用可能な細胞含有放射線視認性ハイドロゲルマイクロファイバーの作成に成功した。我々が作製した細胞含有ハイドロゲルマイクロファイバーは体内投与後の長期的な細胞保持を可能にし、サイトカインによる長期のパラクライン効果が期待出来る。本ファイバーを中大脳動脈に留置することで、脳梗塞モデル作成と同時に長期的な細胞治療の効果を検証することが可能である。本技術の特許を出願した。
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PLOS ONE
巻: 16 ページ: e0250576
10.1371/journal.pone.0250576