研究課題
本研究は網膜障害による脳視覚路の構造変化を拡散強調画像(dMRI)とトラクトグラフィーを用いて定量的に評価することを目的としている。本年は、これまでにdMRIで検出してきた組織変化を、新たな拡散解析方法であるNeurite orientation dispersion and density imaging(NODDI)や、dMRIが水分子をターゲットに測定を行うのに対してリポタンパクをターゲットに計測を行う量的MRI(qMRI)を用いて、脳微小構造変化の詳細を検討した。結果として、1)レーベル遺伝性視神経症(LHON)における脳視覚路障害をdMRIに加えて、髄鞘体積と相関の高いT1緩和時間マップ(qT1値)を用いて評価した。視索ではdMRIとqMRIの両計測値が変化していたが、シナプスを超えた視放線ではdMRI計測では異常となるものの、qMRI測定値(qT1値)は正常範囲内に留まった。qT1はミエリン量との相関が高いことから、LHONによる視放線障害がミエリンの脱髄によらない可能性が示唆された。2)緑内障の静的視野(SAP)および光干渉断層計(OCT)の網膜神経節細胞層厚から網膜神経節細胞(RGC)数を算出した。、それぞれを単独で評価した場合よりも、両者を組み合わせた方が全病期を上手く表現することが出来た。しかし中期の緑内障は本法をもちいても分散が大きく、評価には注意を要する。3) 視野に対応した視放線線維の特定方法を加齢黄斑変性症患者で検討した。視放線のdMRI測定値の変化(FA値)は、網膜障害部位に対応して低下していた。4)緑内障患者における視索、視放線のdMRI、NODDI、qMRIを用いた評価を行った(一部未発表、最終年度のため結果は未掲載)。
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Journal of Ophthalmology
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