研究課題/領域番号 |
17K18135
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
茂泉 佐和子 (吉名佐和子) 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (00424672)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ADAMTS9 / IP3R / C.elegans |
研究実績の概要 |
ADAMTS9の発現抑制により、ER-Golgi間の蛋白質輸送が阻害されること、この機能はC末端にあるGONドメインが重要であることを見いだした(2012. 発表済み)。細胞内におけるADAMTS9/GON-1の作用点を解明するため、KillerRedを融合したGONドメインをHEK293細胞のゲノムに単コピーで挿入した細胞株を作成した。この細胞に緑色光を照射し、GONドメインが失活した直後に起こる細胞の変化を検討した。その結果、GONドメインが失活した直後に、細胞質のカルシウムイオン濃度が上昇することを明らかにした。このカルシウムイオン濃度の上昇は、IP3受容体を介して、ERからCa2+が流出することによる減少であることがわかった。また、C.elegansを用い、ITR-1(IP3Rの線虫ホモログ)のカルシウム結合サイト、または、ユビキチン化サイトを置換した変異体を作成した。これらのitr-1変異体は、gon-1(ADAMTS9の線虫ホモログ)の表現型を一部抑圧することを見いだした。さらにgon-1の表現型は、プロテアソーム依存的タンパク質分解関連因子CDC48のホモログ、ERAD 関連ユビキチンリガーゼ HRD1ホモログ(hrd-1)の発現を抑制することによっても、抑圧された。さらに、GONドメインを過剰発現させることにより、IP3刺激後の細胞質におけるCa2+濃度の上昇が抑制されることを見いだした。 これらのことから、GONドメインはIP3Rの機能を調節し、細胞内Ca2+の調節に関わっていると考え、IP3R関連因子のうち、GONドメインと直接結合する因子があるか否かを免疫沈降法により探索した。その結果、GONドメインと結合する因子を見いだした。 さらに、血管平滑筋の培養細胞を用い、ADAMTS9の機能阻害により、疾患に関連する表現型が見られることを見いだした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ADAMTS9の細胞内における機能をおおむね解明できたが、現在論文を執筆中であるため。
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今後の研究の推進方策 |
GWASにより、ADAMTS9 は 糖尿病、加齢黄斑変性、高血圧、動脈瘤、などのリスク遺伝子であることが報告されている。そこで、 血管平滑筋などの培養細胞を用い、ADAMTS9の機能阻害により、疾患に関連する表現型が見られるか否かを、引き続き検討する。 また、IP3Rの機能を調節する他の因子との関連を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文執筆中のため、英文校正料・論文掲載料を使用しなかった。 論文執筆後、上記の目的のために使用予定。
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