ADAMTS9の発現抑制により、ER-Golgi間の蛋白質輸送が阻害されること、この機能はC末端にあるGONドメインが重要であることを見いだした(2012年. 発表済み)。 細胞内におけるADAMTS9/GON-1の作用点を解明するため、GONドメインが失活した直後に起こる細胞の変化を検討した。その結果、GONドメインの失活により、細胞質のカルシウムイオン濃度が上昇することが明らかになった。また、C.elegansを用いた実験により、細胞質のカルシウムイオン濃度は、IP3受容体を介して、ERからCa2+が流出するためと判明した。 そこで、IP3受容体関連因子のうち、GONドメインと直接結合する因子があるか否かを免疫沈降法により探索し、該当する因子を見いだした。GONドメイン失活時の表現型を抑圧する遺伝子を探索したところ、ERAD関連因子が見出された。このことから、GONドメインはIP3受容体の分解を制御することが解明された。 細胞内のカルシウムイオン調節不良は、ミトコンドリアの機能調節を介し、細胞老化・細胞死に繋がることが知られているため、C.elegansを用いて、ミトコン ドリアの機能を維持することができる薬剤があるか否かを検討した。その結果、FBXをC.elegansに投与するとミトコンドリアの劣化を抑制することができること を見出した。FBXをパーキンソン病、アルツハイマー病、筋ジストロフィーのモデル線虫に対して投与すると、疾患の進行を抑制できることを明らかにした。
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