研究課題/領域番号 |
17K18141
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
岡 大貴 東京農業大学, 応用生物科学部, 助教 (20600232)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | κ-カゼイン / カゼインミセル / 凝乳 / チーズ / ヨーグルト |
研究実績の概要 |
乳の加熱に伴いカゼインミセル表面に存在するκ-カゼインはβ-ラクトグロブリンとSS結合を形成しミセルから解離する。また、加熱時にホエータンパク質(β-ラクトグロブリン)を加えるとその解離量は増加する。さらに、加熱時のpHを塩基性側に変化させることでその解離量は顕著に増加し、それに伴いミセルの凝乳が生じる。この凝乳したカードがチーズ様の物性を示すことから、新たなチーズ製法として応用できる可能性がある。 本研究では、凝乳作用のメカニズムの詳細を明らかにするとともに、その凝乳作用を活かした新たなチーズの製造法を見出すことを目指した。 本年度では、加熱時のホエータンパク質濃度およびpHを変動させ、加熱凝乳する変曲点について検討を行った。また、その凝乳時のκ-カゼインの解離量を求め解離量と凝乳の関係性について検討したところ、90%ほどの解離により凝乳が生じることが示唆された。その後、κ-カゼインが解離したミセルの構造特性について、動的光散乱法や多角度光散乱法により分子サイズを求め、ゼータ電位により凝乳に関わるミセルの表面電荷を評価し、κ-カゼインの解離量との関係性および凝乳との関係性について検討する計画であったが、本年度は動的光散乱法による分子サイズのみを検討した。現在、引き続きミセルの構造特性について検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
κ-カゼインの解離量と凝乳の変曲点について関係性を得ることができ、本年度計画していた内容を概ね進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
κ-カゼインが解離した構造特性を引き続き解析する。その後、凝乳が生じる加熱条件でカードを形成後、得られたカードを用いてチーズ製造への展開を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定通りの執行であったが、購入した物品が予定よりも安価であったため次年度使用額が発生した。なお、ミセルの構造特性に関して再解析が必要のため、生じた費用はその解析に必要な機器のレンタル費および委託解析費にあてる。
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