研究課題/領域番号 |
17K18142
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
杉浦 歩 神戸大学, 医学研究科, 特命助教 (70784974)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ペルオキシソーム / de novo合成 / ペキソファジー / オリゴデンドロサイト |
研究実績の概要 |
ペルオキシソームはほぼ全ての真核細胞に存在する細胞内代謝の中心的オルガネラの一つである。また、細胞内外の環境に応じて、既存のペルオキシソームからの分裂や細胞内膜構造からのde novo合成により数を増やすダイナミックなオルガネラでもある。これまで生体内におけるペルオキシソームの重要性は先天性ペルオキシソーム形成異常患者やそのモデルマウスを用いた研究により明らかにされてきたが、発生や分化過程におけるダイナミクスに関しては未知な部分が多く残されている。本研究では研究代表者が見出した新規のde novo合成経路の解析を通して、哺乳類におけるde novo合成の生理的意義の解明を目指している。本年度は主に神経系の発生・分化過程、特にオリゴデンドロサイトの発生におけるペルオキシソームを形態学的に解析した。各計画の結果を以下に記す。 研究計画1)ペキソファジー後のペルオキシソーム数の回復 これまでに報告されている哺乳類細胞でのペキソファジー誘導の条件を検討したが、再現性は確認されていない。 研究計画2)発生・分化過程におけるde novo 合成の解析 マウス脳より神経幹細胞塊を単離培養し、オリゴデンドロサイトへ分化誘導をする系の確立を試みた。細胞の形態や特異的なマーカータンパク質に対する抗体染色によりオリゴデンドロサイトへの分化が誘導されたことを確認した。また、抗ペルオキシソーム膜タンパク質抗体を用いて免疫蛍光染色をすることによりペルオキシソームの形態や数を観察した。オリゴデンドロサイトへの分化が誘導されている細胞においてペルオキシソーム数の増加が観察され、de novo合成が起きている可能性が示唆された。マウス脳凍結切片を用いた複数の抗ペルオキシソームタンパク質抗体を用いた組織免疫染色法の条件を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者は本年度4月より現所属機関に異動し、申請時に本研究課題に参画予定であった大学院生が不在となったため、一人で本研究を遂行した。各研究計画に対する進捗状況を以下に記す。 研究計画1)これまでに報告されてきたペキソファジー誘導条件を検討したが、再現を得ることができず、更なる検討が必要とされている。 研究計画2)細胞培養や染色条件を最適化し、解析に値する実験結果が得られつつある。
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今後の研究の推進方策 |
申請時の計画ではラットを用いた実験を計画していたが、今後遺伝子改変動物を用いた解析への展開が期待されることから、マウスを用いた実験系の確立を試みた。本年度の成果よりマウス胎児脳より神経幹細胞塊を培養し、オリゴデンドロサイトへの分化誘導の実験系が確立されつつある。今後はこの系を用いて当初の計画と同様の実験を行う。ペキソファジーに関しては引き続き条件検討を行う。
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