研究課題/領域番号 |
17K18143
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
小澤 佑介 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 助教 (20634215)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 可視光ワイヤレス給電通信 / 海中可視光通信 / 海中可視光ワイヤレス給電 / ワイヤレス給電 / 海中無線通信 / 水中無線通信 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、海中高速無線ネットワーク網を柔軟に構築するために、海中で用いるあらゆる情報収集用センサのバッテリレス化およびワイヤレス化を同時実現する海中可視光ワイヤレス給電通信方式の基礎理論構築を目的としている。この研究目的実現のために3つの課題、(A)海中可視光ワイヤレス給電システムの高電力効率化(H29年度課題)、(B)可視光ワイヤレス給電通信システムの高電力効率化(H30年度課題)、(C)可視光ワイヤレス給電通信システムのプロトタイプ製作(R01-02年度課題(COVID19の影響によりR01年度からR02年度に延期))の達成を目的としている。本来であればR02年度はプロトタイプ製作を実施する予定であったがCOVID19のため実験が十分に実施できなかったため、今年度は特に課題(B)により判明していた受光素子にソーラーパネル(SP)を使用した際に生じる(1)SPの低い周波数応答特性による通信速度の限界問題、(2)高SNR比によるSPの容量性増大による最大通信速度の劣化問題、を解決するために引き続き課題(B)に取り組んだ。その結果、昨年度の複数波長を用いた海中可視光ワイヤレス給電通信をさらに拡張し、受信信号電力を送信信号によらず一定とすることで安定的な給電を確立し、かつ通信性能を最大化させる信号点配置を提案した。具体的には、海中のクロロフィル濃度値から海中通信路を推定し、推定チャネル情報を用いることで送信機側で受信信号電力を一定とする制約式を基に、信号点配置の最小信号点間距離を最大化させるような目的関数を導出し、この目的関数(非線形最適化問題)を解くことで信号点配置を導出した。さらに、受信機構成として給電と通信を時間的に切り替える方式(Time-Switching方式(TS方式))を適用し、給電と通信の割合を受信機側で制御した際の通信性能・給電性能を包括的に解析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究計画においてR02年度は「可視光ワイヤレス給電通信システムのプロトタイプ制作」を予定していたが、R02年度もCOVID19の影響で基礎実験製作・評価は十分に進まなかった。一方でR02年度はH30年度及びR01年度課題において判明したソーラーパネルを受信機として用いた場合の通信速度の劣化に対して複数波長を用いた変復調方式を用いることで通信速度の向上を図った。とくに、複数波長を用いた海中可視光ワイヤレス給電通信のための最適な信号点配置を提案し、その結果、単色を用いた場合に比べ安定的な給電を実現しつつ、通信速度を向上することが可能となった。一方で、本来予定していた「基礎実験製作・評価」は十分に実施できなかったため進捗状況を「遅れている」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
上記の通り本研究課題の進捗状況は「遅れている」。そこで本研究課題の研究期間を延長し、R03年度はCOVID19の影響により延長したR01年度/R02年度に取り組んだ「複数波長(色)の発光素子を用いた波長多重型の海中可視光ワイヤレス給電通信」の研究成果を基にプロトタイプ機製作に取り組み実験的評価を行い、これまでの理論解析モデル・シミュレーションモデルの検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度はこれまでの理論/シミュレーション解析の結果を基礎実験により検証する予定だったが、COVID19の影響により実験評価系の製作及び基礎実験に遅れが生じたため、実験評価系製作費及び測定系購入費用に残額が生じた。次年度では、残額を当初の予定通り実験評価系製作費及び測定系購入費用に充て、提案手法の実験評価系製作を完了し、基礎実験を行う予定である。
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